白色テロの被害者 顔世鴻さんが死去 過去に自伝出版/台湾
(台北中央社)国民党政権によって市民の思想や言論が弾圧された「白色テロ」の被害者で、2012年に自伝「青島東路三号」を執筆した医師で作家の顔世鴻さんが、9月27日に亡くなったことが分かった。享年97。顔さんのめいで作家の米果さんが同月30日、明らかにした。 日本統治時代の台湾で生まれた顔さんは、3歳の時に家族と共に中国・福建に転居し、1937年の盧溝橋事件後に台湾へ戻った。両親の家族は抗日運動に参加しており、父親の顔興氏は2度、当時の特高警察に逮捕され、投獄された経験がある。 戦後、台湾大学医学部に進学すると、50年に共産党の活動に加わって逮捕され、その後64年まで約13年7カ月、東部・台東県の離島、緑島や南部・屏東県の離島、小琉球などで獄中生活を送った。その後台北医学院(現台北医学大学)に入学し直し、卒業後は南部・台南で医療活動に従事していた。 顔さんの後輩で成功大学医学部附設医院(台南市)の謝奇璋医師はフェイスブックを更新し、熱心に患者と向き合い、家族や経済状況などを理解した上で、低額の医療費しか求めなかったと顔さんの人柄を振り返った。 (葉冠吟/編集:齊藤啓介)