桃田賢斗、第一線退く意向 バドミントン国内リーグ今季限り
バドミントン男子シングルスの元世界王者、桃田賢斗(30)=NTT東日本、富岡高卒=が今季のS/Jリーグを最後に第一線を退く意向であることが3日、関係者への取材で分かった。桃田は2020年1月に遠征先のマレーシアで交通事故に遭い、右目眼窩(がんか)底骨折の手術を受けた影響などで、今年5月の国際大会を最後に日本代表から引退していた。 S/Jリーグは今月2日に開幕し、来年2月まで開催される。関係者によると、12月の全日本総合選手権には出場しない見通しだ。 桃田は香川県出身。富岡一中、富岡高卒。13年にNTT東日本に入り、18年に日本男子として初の世界選手権制覇と世界ランキング1位を達成した。19年には世界選手権を2連覇したほか、国際大会で歴代最多の年間11度の優勝を飾りギネス世界記録に認定された。 五輪は違法賭博問題による出場停止処分を受けて16年リオデジャネイロ大会出場を逃し、初出場の21年東京大会は1次リーグで敗退。今夏のパリ大会は度重なる故障の影響もあって出場できなかった。代表引退後は競技の普及に力を入れていく考えを示していた。 桃田は13年に第23回みんゆう県民大賞のスポーツ賞を受賞している。
恩師「今後も魅力伝えて」
長く日本のバドミントン界をリードしてきた第一人者が、その活動に一つの区切りを付ける。男子シングルスの桃田賢斗が第一線を退く意向を示したことを受け、恩師らはこれまでの活躍をねぎらい、今後の活躍に期待を寄せた。 「長く男子シングルスを引っ張り続けてきた活躍は価値あるもの。一般の人たちにもバドミントンの魅力を伝えてくれた」。富岡高時代に桃田を指導した大堀均さん(56)=トナミ運輸ヘッドコーチ=は感慨深げに語る。 震災と原発事故後、富岡高バドミントン部は猪苗代町に拠点を移した。避難先での活動という逆境の中、練習場所の小さな体育館では休みの日にバドミントンに興じる桃田の姿があったという。大堀さんは「彼が活躍できた最も大きな要因はバドミントンが大好きだということだと思う。多くの人に夢を与えることができたのも、それが一番大きい。そんな彼だからこそ今後も魅力を伝え続けてくれると思う」と語る。 富岡高の流れを受け継ぐふたば未来学園中・高(広野町)で中学バドミントン部監督を務め、富岡一中(富岡町)時代に指導した斎藤亘さん(52)も「桃田は良いことや苦しいことを経験し、そのたびに大きく成長した。弱音を吐かず頑張り抜いた」とねぎらった。今後について「バドミントンの普及や魅力発信の活動に取り組んでほしい」とエールを送る。
福島民友新聞