日の丸背負う“逸材小学生”に備わる資質とは? 三刀流コーチも唸る技術以前の「差異」
「元プロでもなければ日本代表経験もない自分の役割とは、何だろう」
野下コーチ自身、元プロの仁志監督や江尻投手コーチとは違う役割を担っていると自覚している。 現役時代は神奈川県立相模原高、横浜国大で165センチの小柄ながら、左腕投手としてプレーしていた。「僕は元プロでもなければ、日本代表経験もない。自分の役割とは何だろう?」と何度も自問自答したそうで、「子どもたちに一番年齢が近いから、コミュニケーションを取っていこう」と思い当たった。仁志監督は53歳、江尻投手コーチは47歳で、確かにひと際若い。さらに「普段子どもを教え、育てる立場で働いているので、その知見を生かせたらと思います」と付け加えた。 一方で、「仁志さん、江尻さんとたくさんお話をさせていただく中で、 一言一言がとても勉強になっています」と“元プロ”に触れる効果を実感している。 教育者として「子どもたちが自分の可能性を信じられること。そのためにまず、僕が1人1人の可能性を絶対に信じてあげて、何か1つでもいいからやってみようと、子どもの心に火をつけること。それがジャパンでも、普段のチームでも、学校でも同じ、僕の人生のテーマです」と言い切る野下コーチ。躍動感あふれる若手指導者が、幼い“侍”たちを熱く鼓舞する。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki