「すぐ疲れる」「だるい」と不調な人が見落としている意外な盲点
この方法は1960年代に東京医科歯科大学の初代耳鼻咽喉科教授である堀口申作氏によって始められた日本オリジナルの治療法で、耳鼻咽喉科医の間で一時期脚光を浴びました。しかし、残念なことに、①治療に伴う痛み、②低い診療報酬などの理由で、実施する医師が1980年代以降、ほとんどいなくなってしまいました。ですが10年ほど前から、腎臓病の1つであるIgA腎症などとの関連でこの治療の価値が見直され、最近になり再び注目を集めつつあります。
■自分でもできる「慢性疲労」を解消する方法 上咽頭を健康な状態に戻すうえでEATはもちろん重要ですが、セルフケアとして上咽頭を洗う「鼻うがい」「上咽頭洗浄」は炎症を抑え、ウイルス、粉塵、黄砂など、炎症を引き起こす原因から上咽頭を守るために役立ちます。 鼻は自然に備わった空気浄化装置ですが、口から吸いこんだ空気は浄化作用を受けないまま、上咽頭を刺激してしまいます。そこで、口呼吸の習慣のある人は普段の呼吸を鼻呼吸に変える必要があります。そのために役立つのが舌位置アップのための「かにゆで体操」や就寝時の「口とじテープ」(マウステープ)です。
微小循環の障害で生じた瘀血(おけつ。炎症物質が含まれる汚れた血液)は健康の土台が傾く原因となるため、取り除く必要があります。上咽頭の瘀血はEATで取り除くことができますが、全身の瘀血を取り除くためには「パワーかっさ」(強めのかっさ)が有効です。また、「パワーかっさ」は自律神経システムにも好影響を与えます。 慢性疲労を訴える患者さんの自律神経の状態は、単に交感神経と副交感神経のバランスが崩れているだけでなく、交感神経レベルと副交感神経レベルがともに低下した状態と言えます。自律神経システムが健康な状態とは、交感神経と副交感神経(約80%が迷走神経)の両方が適度に緊張しており、ゆったりとしているけれども適度な緊張感と集中力があります。