三井物産が24年ぶり首位 円安や資産売却で 大手商社令和6年3月期、4社が減益
大手総合商社5社の令和6年3月期連結決算が8日、出そろった。製鉄に使う原料炭などの市況価格の下落が響き、最終利益は伊藤忠商事を除く4社が減益となった。ただ三井物産は外国為替市場の歴史的な円安や資産売却が寄与し、2年連続で1兆円を維持、平成12年3月期以来24年ぶりに商社トップに立った。 【写真】記者会見する伊藤忠商事の石井敬太社長 伊藤忠がこの日発表した6年3月期の最終利益は前期比0・2%増の8017億円。繊維や食料分野が強く、資源価格の影響は小さかった。石井敬太社長は決算会見で「非資源分野を中心にした底堅い収益をベースに、新たな成長の土台を確立した」と強調。北米での自動車やエネルギー事業も好調だった。 原料炭の価格は前期にロシアのウクライナ侵攻などによる供給制限で高騰していたが、緩和したことで下落した。 減益4社のうち、住友商事の下落幅が最も大きく、31・7%減の3863億円だった。マダガスカルのニッケル事業などで計約1500億円の減損損失を計上した。 三井物産は5・9%減の1兆636億円で3年ぶりの減益。前期まで2年連続で商社トップだった三菱商事は18・4%減の9640億円と節目の1兆円を割り込んだ。丸紅は13・2%減の4714億円だった。 7年3月期については、三井物産、三菱商事の上位2社が資源価格の下落で減益を見込む。三井物産は9千億円(15・4%減)、三菱商事が9500億円(1・5%減)とともに1兆円の大台を下回る見通しだ。伊藤忠、丸紅、住商の3社は増益予想とした。(佐藤克史)