中国 景気悪化で増える若者の“高齢者あやかり消費” 「老年食堂」の半数近くが20~30代【WBS】
中国の重要政策を決定する全人代=全国人民代表大会が11日、閉幕しました。最終日の慣例となっていた首相による記者会見が行われないなど、異例の展開となった今回の全人代。習近平国家主席への権力集中が一層進んだ形です。 例年より短い7日間の期間で開催された今年の「全人代」。11日に行われた閉幕式は約30分で終わりました。その中で「国民組織法」という中国政府の役割を定めた法律が、1982年の制定以来初めて改正され、中国政府は中国共産党の指導を堅持することが明文化されました。 これは、李強首相が管轄する政府から、習近平総書記が率いる中国共産党への権力集中がより一層進んだことを示しています。そして習氏「1強体制」の強化の結果なのか、例年は全人代閉幕後に行われていた首相による記者会見が今回から取りやめとなりました。 外国メディアにとっては年に一回、中国共産党の「ナンバー2」に直接質問することができる貴重な機会であったため、例年の全人代に比べれば、やや盛り上がりに欠け、会議の存在自体が形骸化した印象です。 「中国経済は低迷が続いています。具体的な対応策は示されたのでしょうか?」(大江麻理子キャスター) 「悪化を続ける不動産市況などへの具体的な対策がどこまで示されるか注目されていましたが、会期中、特に目新しい政策は発表されませんでした。李強首相も、会期中、不動産市況については『ビジネスモデルの刷新を急ぐ』などと語るにとどめました。閉幕後の会見の見送りは、低迷する経済に関する回答を控えたいという狙いもありそうです」(北京支局の杉原啓佑記者)
若者の“高齢者あやかり消費”
経済の不振が続く中で、今、中国の若者の間には、節約志向を象徴するある動きが広がっています。 中国・北京。住宅街の中にあるレストランの入口には、「高齢者向けのレストラン」と書かれています。その名も「老年食堂」です。高齢者の生活や健康を支援するために地元政府が作ったもので、中国各地におよそ6000軒あるとされています。バイキング形式の定食は日本円で200~300円ほどと格安。ご飯はおかわりを含め無料です。 実は今、この「老年食堂」で目立つのが、若者たちの姿です。取材に訪れた店では、客の半数近くが20~30代の若者でした。老年食堂を利用した若者は、「たったの10元(約200円)だった。コスパが良い」「若い客がとても多い。会社近くの店だと50元(およそ1000円)はするから、安くてよい」と話します。 背景にあるのが、若者に広がる節約志向です。直近の中国の若年層(16~24歳・学生を除く)の失業率は「14.9%」で、依然高い水準が続いています。雇用環境の悪化を受け、先行きに不安を感じる若者が増えているのです。 こうした中、高齢者向けの「格安サービス」を利用する若者が増え、「高齢者あやかり消費」が話題になっています。