組織風土改革が最優先、直接対話で法令遵守徹底 旧BM事業承継のウィーカーズ・田中社長
中古車販売大手ビッグモーター(BM)の主要事業を承継したWECARS(ウィーカーズ)の田中慎二郎社長が産経新聞の取材に応じ、旧BM事業の再生について「組織風土改革ができないかぎり、何を積み上げても崩れてしまう」と述べ、不正を防ぐ組織づくりに最優先で取り組む考えを示した。店舗訪問だけでなく、オンライン面談も取り入れて社員との直接対話に注力し、コンプライアンス(法令順守)の徹底を図る。 ウィーカーズは伊藤忠商事と企業再生ファンドが、自動車保険の不正請求などで経営危機に陥った旧BMの事業を買収し、5月1日に設立した。田中氏は伊藤忠商事の元執行役員。北米の住宅用建材会社や英タイヤ小売り大手を立て直した手腕を買われ、〝再建請負人〟として送り込まれた。 旧BMは中古車業界でトップだったが、不正が発覚して客足は激減。中古車販売台数は発覚前の1~2割まで落ち込んだ。ウィーカーズ発足直前の4月末時点でも3~4割の水準にとどまる。足元も厳しい状況が続くが、田中氏は「数字を追うことではなく、風土改革に社員の意識を向かわせたい」と力を込める。 改革推進のためには不正の温床となった利益至上主義の人事評価体系を見直す必要がある。販売成績に応じた過度な昇格・降格制度により、修理時に故意に車を傷つけて保険金収入を水増しするなどの違反行為が発生した。新体系については「丁寧につくりたい。秋口にはできる」と説明。インセンティブ(動機付け)の是正や、社員の士気向上にもつながる定性評価に重点を置く方針を示した。 ウィーカーズは赤字経営でのスタートとなったが、引き継いだ全国249店舗の統廃合に関しては「考えていない」と述べた。(佐藤克史)