「途中退席」論争で考えたこと…最後までお客さんを楽しませる工夫の必要性、文字だけで伝えることの難しさ【ハイヒール・リンゴ『リンゴのつぶやき』】
劇団四季の「ウィキッド」を観てきました。誰も知らないもう一つのオズの物語。あまりの完成度の高さに思わず涙ぐんでしまいました。そして、もう一つ感動したのは、専用劇場ならではのそのホスピタリティ。ファン層をよく把握しているので、お土産、記念写真、お手洗いと誘導力、とってもスムーズ。何もかもが、すばらしいの一言でした。 そういえば、ミニコンサートとお芝居で構成される演歌歌手の座長公演では第2部が午後4時開演などと、かなり早くから始まります。ファン層や遠方から来るお客さんのことを考えて劇場側が設定しているそうです。主催者サイドも、お金と時間を使って見に来て下さっているお客さんを最後まで楽しませる工夫をしているのだと思います。 ライブ終盤で帰宅する一部の観客について言及した「DREAMS COME TRUE」の中村正人さんのX投稿が話題になっているというネットニュースを読みました。 「色々ご都合おありなのはお察ししますが最後のご挨拶の途中でどんどんお帰りになる多くの皆様のお姿を拝見すると『ああ、そんなにライブがお気に召されなかったのか』と深く反省する次第です」という投稿に「泣く泣く帰る地方民のファンもたくさんいるのに」「ライブの後半で途中退席する人の多くは、ライブがお気に召さないどころかお金も時間もかけて遠くから足を運んでいる熱心なファンだということを知っていてほしい」などとファンが反応し、中村さんが「初めての会場なので事情がわかりました 明日もベスト以上を尽くします」と応じたのですが、これらの投稿は削除されたそうです。 今回のXでのやり取りは、最後まで聞いてほしいというアーティスト側の素朴な思いと、居たくても途中で出ないと最終電車に間に合わないなどというファン側の気持ちとが微妙にすれ違ったのだと思いました。すべての人に満足してもらうのは、とても難しいことだと思います。 そして今回もう一つ思った事。それは文字にすると自分が考えている以上に相手にはキツく感じてしまう場合があるということです。私は人とやり取りをする時、途中でLINEやメールから電話に切り替えることがよくあります。何か細かいニュアンスが伝わらず、勘違いが起こりそうな気がするのです。 日本語というのは難しい。直接会えば理解できるのに、文字でやり取りすると感情の齟齬が起こる可能性がある言語なんだと、特にSNS世代には知ってほしいと昭和生まれの私は思ってしまうのです。