ブラジルで活躍する日系企業の今(24) 産業発展と脱炭素推進に貢献するTSE社
ブラジルの産業の更なる発展と脱炭素の推進に向けて
現在、同社がブラジルの産業の更なる発展と脱炭素の推進を念頭に遂行している主な案件は以下の通り。 ・電力源の過半を水力発電を始めとした再生可能エネルギーに頼るブラジルが、自然環境に左右されず電力の安定供給を図るための火力発電所(マラニョン州サントアントニオ・ド・ロペスとパラ州バルカレーナ)。蒸気タービン及び排熱回収ボイラを増設し、発電量と発電効率を向上させることでCO2削減にもつなげている。 ・燃焼ガスによる環境負荷を低減するディーゼル燃料の脱硫装置(サンパウロ州パウリニア) ・環境負荷の少ないクリーンエネルギーと位置付けられる天然ガス精製設備(リオ・デ・ジャネイロ州イタボライ) ・海洋プレサル鉱区の石油開発のため、ヤード設備を利用したFPSOトップサイドのモジュールの設計・調達・建設(リオ・グランデ・ド・スル州リオ・グランデ) 技術力、納期遵守力、コストマネジメント力などがペトロブラス社から高く評価され、同社を始めとしたブラジルの多くの会社から信頼を得ている。
アンモニアの新たな可能性
ブラジルは2030年までに温室効果ガスの排出を50%削減、2050年までにカーボンニュートラルを目指している。 次世代エネルギーとして期待されているクリーン燃料の一つが、燃焼時に二酸化炭素を排出しないアンモニアである。100年前から肥料として使われるようになったアンモニアに関して、TOYOは世界中に87基のアンモニアプラントと48基超の貯蔵タンクのプロジェクトの実績を持つ。水素、アンモニア、SAF(持続可能な航空燃料)、メタノールを始めとする次世代エネルギーや循環型・低環境負荷分野等の新技術と事業開拓によって、ブラジルでも「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献」を目指す。
若手エンジニアの育成に貢献
ブラジルを除くTOYOの世界全体の従業員数はエンジニアを中心に約5500人であるのに対し、ブラジルでは建設現場も含めてTS社が約8千人を直接雇用している。同社はブラジルへの技術移転、産業全体の底上げとなる人材育成にも取り組んでいる。特に新卒エンジニアには注目し、日本同様にプロジェクトで働くためのトレーニープログラムを提供し、10年前から続ける学生のインターン制度は好評を得て多くの応募がある。(取材/大浦智子)
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