高杉真宙と葉山奨之、河川敷でダベるだけだが、なぜか心地よい『セトウツミ』
『セトウツミ』(テレビ東京系)は関西の男子高校生、瀬戸小吉と内海想が放課後に河川敷で暇つぶしにしゃべるだけという異色の青春コメディー。クールでナナメでシニカルなトークが人気となった同名コミックが、昨年公開の映画に続いて、ついにドラマ化されたもの。映画では池松壮亮が演じた内海をドラマでは高杉真宙が、菅田将暉が演じた瀬戸を葉山奨之が演じている。
ただダベるだけが心地よい 高杉と葉山、名コンビの誕生か?
原作も映画も知らず、ドラマで初めて「セトウツミ」と出合ったという人も多いはず。ほぼ、2人の高校生がダベるだけの展開に最初は面食らうが、優れた小説が行間にさまざまな情感を浮かび上がらせるように、不思議なぐらい、2人の高校生活だったり、さまざまな思いや景色といったものが浮かび上がる。家族や受験、部活、友情、そして恋愛と……誰もが経験したことがあってイメージしやすい青春時代の悩みばかりだからか。もちろん、トークの内容自体も面白い。漫才のように爆笑するというよりは思わずクスッとさせられる、ちょっぴり控え目に笑えるところがなんとも心地よい。 肝心の高杉と葉山のコンビもいい。以前出演した『仮面ライダー鎧武/ガイム』で、共演したヒロイン役と撮影開始から2カ月ほど会話できなかったという人見知りエピソードを持つ高杉だが、その人見知り感がこのドラマの演技面でプラスに作用しているのだろうか、周囲との絶妙の距離感を醸し出している。もともと原作の大ファンだという。また、前クール『僕たちがやりました』ではかなり腹黒な高校生役を演じた葉山だが、こちらも文句なしの演技と存在感。2人の共演は初めてとのことだが、名コンビ誕生の予感も。
河川敷の男子2人に、爽やかな女子の登場がいいスパイスに
同級生女子でお寺の娘、瀬戸から好かれるが本人は内海のことが好きという樫村一期役の清原果耶もいい。基本的に河川敷での男子2人の会話劇だけに、画面に彼女が登場すると一瞬爽やかな風が吹いたような感じさえして、いいスパイスになっている。2話では、彼女を中心にしたエピソード部分も見られた。 押し付けがましいところがなく、誰もが自身の経験上の「あるある」をダブらせることができる。明るくてやわらかな関西弁も耳障りよく魅力的で、ドラマの根幹を支えている。大阪出身の葉山に対し、福岡出身の高杉は方言指導を受けながら苦心しているそうだが、もし標準語やほかの方言ならこれほどしなやかなドラマにはならないだろう。 次も観たい度 ★★★★☆ (文・写真:志和浩司)