梅雨の季節、神社で見かける「茅輪くぐり」とはどんな行事?
梅雨の季節になりました。早いもので、1年ももうそろそろ折り返し地点が近づいてきています。折り返しともなると、節目だなと感じる人も多いかと思います。その感覚は昔からあったようで、神社では古来の風習にのっとって、6月の末日に夏越の大祓(なごしのおおはらえ)式という神事を執り行います。
浄化の儀式、大祓とは?
大祓は半年に一度、それまで人々が自分でも気づかない間に犯してしまった罪や穢れを祓い、水に流し、これからやってくる半年を気持ちよく過ごすための行事です。罪や穢れは、古代には疫病はもちろん、実際の犯罪も含まれていました。現代ではどちらかというと、身にふりかかる災難や病気などのもととなる心身の悪い部分を洗い流し、すっきりしましょうという趣旨と思って頂ければよいのではないでしょうか。 6月の最終日、晦日(30日)に行うものを夏越の大祓といいます。旧暦ですと6月の終わりは夏の終わりに差し掛かる時期でしたので、夏を過ぎ越すという意味で、夏越といいました。また、一年の最終日である大晦日(12月31日)に行うものを年越の大祓といいます。 祓は、古来日本人が行ってきた浄化の儀式です。神社で御祈祷を受ける際にも、まず神職が皆さんのお祓いをして、心身の穢れを落とした姿で神様の前に行き、それから神事を始めます。 大祓というと、大きいバージョンの祓と思われるでしょう。実際そうなのですが、大という言葉の中には、天下万民のための国家行事という意味合いがあります。今でこそ全国の神社で行っている大祓ですが、もとは朝廷に仕える官僚たちが行っていた国家行事でした。 『古事記』には第14第仲哀天皇の頃には既にあったと記録され、大宝律令(701年制定)により、宮中の正式な年中行事として行うことが規定されました。 国家の行事としてどのように大祓を行っていたかといいますと、6月と12月の最終日に、都の朱雀門前に官僚たちが集まって、大祓のための特別な祓詞「大祓詞」を奏上し、国民の罪穢れを祓っていました。現在、私たちが神社で行っている大祓式は、これを踏襲したものです。