高齢女性の活躍応援 高まる需要狙え会員増 研修充実、周知強化 福島県シルバー人材センター連合会
16日は「敬老の日」。福島県シルバー人材センター連合会は女性の活動機会の拡大に乗り出した。女性向けの研修内容を充実させ、児童保育の支援や雑貨制作など女性が取り組みやすい活動内容の周知を強化して全会員の3割にとどまる女性比率の底上げを目指す。人手不足が課題となる中、高齢者が活躍の場をさらに広げられるかが重要。高齢女性の社会進出を後押しし、誰もが輝ける社会をつくる。 センターは60歳以上の会員に働く機会を提供し、収入確保や社会参加を促している。これまでは草刈りや庭木の剪定(せんてい)など肉体労働のイメージが強かったが、近年仕事のニーズは変化している。介護の現場でシーツの取り替えなどの手伝いを求める需要が高まっている他、商業施設の受付係や女性のメークアップなど仕事内容は多岐にわたり、女性の働き手の必要性も高まっている。 女性が会員となって活躍できる場を広げるため、連合会は研修に力を入れる。各市町村のセンターが実施していなかったメークアップを学ぶ研修を始めた。将来的な仕事につなげてもらう狙いがあり、今年1月に福島市で開催した講習会ではオンラインを含めて約30人が学んだ。
女性会員獲得に向け、ノウハウや成功例などを共有する会議を県内各地で開催している。11月には保育や介護などの現場で活動している会員の様子を紹介する女性向けの広報誌を発行し、仕事内容を広く知ってもらう。女性会員が活動内容を発表する全国大会への参加も目指しており、全国の働く女性とつながりをつくり、やりがいを見いだせるよう促す。 福島市シルバー人材センター会員の渡辺敏子さん(64)は無理のない範囲で働ける環境が魅力だと語る。市内の菓子卸売・総合商社の渋谷レックスで、菓子の袋詰め作業などに励む。「肉体労働ではなく仕事量も調節できるので、女性が年を重ねても働ける」と利点を口にする。 県内の過去10年の会員数の推移は【グラフ】の通り。全体は1万2千人台だが、女性の比率は33~34%程度。全国シルバー人材センター事業協会によると、全国でも女性比率は3割台と低く、女性をどう増やすかが課題となっている。
今年度の役員改選で女性初の筆頭副会長となった藤本容子さん(72)=喜多方市=は、多様な働き方ができれば、生きがいづくりや健康促進につながると女性参画に期待する。「友人をつくる気持ちで入ってくれたらいい。生き生きと活躍できる女性を増やしたい」と話す。 地域福祉に詳しい鈴木典夫福島大行政政策学類教授は、超高齢化社会に入り、人手不足も重なる中で女性の活躍は欠かせないと指摘する。「高齢女性が働きやすい環境づくりのため、官民連携で学びの機会を確保するべきだ」と語った。