ビル・ゲイツが注目! 財団が支援した「AI主導プロジェクト」3選
AIに対するゲイツ氏の見通しは、いたって楽観的です。 2025年のどこかの時点で、ほとんどのアメリカ人がごく普通にAIを使うようになり、日常生活はおそらく、いまとは違ったものになる。ビル・ゲイツ氏はそう予測しています。 アフリカの国々の利用率に関しては、3年ほどで他と肩を並べるレベルに到達するのではないでしょうか。 これは進歩だと、ゲイツ氏は言っています。 ゲイツ財団は今年2023年、AIグランドチャレンジを開催し、ヘルスケアや機会、開発、ジェンダーの格差に関する世界規模の課題に取り組むAI主導型プロジェクトに対し、最高10万ドル(約1400万円)の助成金を提供しました。 以下では、同財団が今年、資金を提供したプロジェクトをいくつかご紹介しましょう。
1. 各生徒に合わせた家庭教師
ゲイツ氏はブログの中で、「いま試験導入されているAI教育ツールには本当に驚かされます。各学習者のニーズに合わせることができるものだからです」と述べています。 こうしたツールは、生徒やカリキュラムごとにカスタマイズされているうえに、現地の言葉や情勢にも対応しています。 たとえば、こうした取り組みのひとつが、ケニアのSomanasiです(「Somanasi」はスワヒリ語で「ともに学ぶ」を意味します)。 「このAI家庭教師は、文化的背景を念頭に置いて開発されているので、利用する生徒はこれに親しみを覚えるのです」と、ゲイツ氏は言っています。
2. 抗生剤耐性を防ぐ
病原菌が同じ抗生物質に何度も何度も遭遇すると、次第に順応して進化し、抗生物質が効かないようになります。 これが抗微生物薬耐性(AMR:Antimicrobial resistance)です。AMRは、欧米の病院で大問題になっていますが、さらに深刻なのはアフリカです。抗生物質が効かない病原菌による死者がもっとも多いのがアフリカなのです。 AMRの発生を食い止める第一の防衛線は、医療提供者が処方薬を微調整して、耐性を持つレベルまで病原菌を追い込まないようにすることです。ここで登場するのがAIというわけです。 ガーナのAurum Instituteは、そのためのAIツールの開発に取り組んでいます。このツールは、抗生剤耐性の獲得間近と思われる特定の病原菌に関する最新情報をまとめて、AMRを生じさせずに病気を治療するのに最良の薬と用量を提案します。