「お客さんの笑顔が幸せ」 七尾のすし店1ヵ月ぶり射水で営業、スペース無償提供受け
能登半島地震で被災した飲食店に無償で営業スペースを貸し出す取り組みが6日、富山県射水市八幡町(新湊)のシェアキッチン「みなとキッチン」で始まった。石川県七尾市の老舗すし店「松乃鮨(まつのすし)」が同日から2日間の日程で出店し、多くの来店客に寒ブリ丼を提供した。6代目の南智文さん(41)は約1カ月ぶりとなる営業に「お客さんの笑顔が見られ、おいしかったという声が聞けて幸せ」と感謝した。 企画は、みなとキッチンの「能登の飲食店・つづける応援プロジェクト」。地震の被害で休業を余儀なくされている店の事業継続を支援する。無償で営業スペースと宿泊場所を用意し、水産仲卸の孫七・川田水産(射水市八幡町)が鮮魚を浜値で提供する。 松乃鮨は液状化で店舗が傾き、断水も続いているため営業を休止。南さんは1月に20日間、飲食店仲間と炊き出しを七尾市の商業施設で続けた。現在は週1、2回、巻きずしやいなりのセットを珠洲市や輪島市に無償で届ける活動を独自に行っている。
南さんは七尾市内の友人を介し、みなとキッチンの取り組みを知って出店することを決めた。メニューはブリの刺し身と漬け、あぶりを盛り込んだ「北陸はひとつ!寒ブリ丼」。この日は午前11時前から行列ができ、正午前には用意した30食が完売した。 来店した高岡市の西野信一さん(68)は「ちょっとでも応援できるのであればと思って来た。ブリのあぶりがおいしかった」と話した。みなとキッチンのマネジャー、大坪史弥さん(34)は「富山の人の支援の気持ちが七尾の人に伝わればいい」と見守った。 南さんは「お客さんと触れ合い喜びを感じた。モチベーションも上がった」と、残りの7日の営業に向け張り切っていた。売り上げの一部はすしを届ける活動に充てる。