球児メシ 一つ300円の具材たっぷりケバブ 東京高専生の癒やし
毎週火、金曜日の練習後、東京高専の硬式野球部員にとって、お待ちかねの時間が始まる。午後7時前に練習を終えると、歩いて8分の京王線・狭間駅の方へ。お目当ては駅近くに来るキッチンカー「ドネル ケバブ」だ。 【写真】鶏肉とキャベツがたっぷり詰まったケバブを食べる岡本琉聖主将=2024年6月11日、八王子市椚田町、吉村駿撮影 パンに挟まっているのは、あふれんばかりの鶏肉とキャベツ。ソースはチリ、マヨバジル、オーロラの3種類から選ぶことができ、一つ300円(税込み)という安さも売りだ。 主将の岡本琉聖君(3年)は、1年時から通い続ける常連。「練習が終わった後に、ここでホッと一息つけるんです」。いつも、キッチンカーの前で仲間と食べる。テストの点数や進路の話題、その日に学校であったできごと――。食べ終わるまでの10分間、たわいもない会話で盛り上がるときが、至福だという。 岡本君は、青梅市の自宅から電車を乗り継ぎ1時間半ほどかけて通っている。「家が遠い部員にとっては、軽い夜ごはん。おいしいから何個でも食べられる」。でも、食べ過ぎると自宅で夜ご飯が入らなくなる。だから、一つだけで我慢しているそうだ。 ケバブをつくるのは、八王子市の岡林信夫さん(62)。トルコ人の知人から作り方を教わったのを機に、12年ほど前から売るように。火、金曜日は主に多摩地域を回り、午後5時すぎには狭間駅の近くに到着する。 ここで売り始めて10年ほど。「食べ盛りの子たちがおいしそうに食べる姿をみるのは幸せですよ。こっちが元気になる」
朝日新聞社