準大手・中堅証券決算、株高追い風に軒並み大幅増益-岡三証Gは25倍
(ブルームバーグ): 主な準大手・中堅証券の2024年3月期決算が30日、出そろった。株式市場の活況を背景に委託手数料が拡大したほか、トレーディング損益も改善。各社軒並み大幅な増益決算となった。
同日発表した東海東京フィナンシャル・ホールディングス(FH)の純利益は前の期比5.2倍の102億円、いちよし証券は同2.5倍の19億円だった。
日経平均株価が2月にバブル経済崩壊後、34年ぶりに史上最高値を更新。3月には一時4万円の大台を超えるなど取引が活発化し、こうした市場環境の変化が各社の利益を押し上げた。
既に発表している社も含めると、純利益の増益幅が最も大きかったのは岡三証券グループ。同25倍の132億円と9年ぶりの高水準となった。株式の委託手数料が同5割超伸びたほか、外国株や国内債券のトレーディングも好調だった。
岡三証Gの新芝宏之社長は、新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけに投資に関心を持った初心者が株価調整時に投資離れしないか「心配はしている」としつつ、「長期的にポートフォリオを保有していくことが大事だ」と説明。対面中心の証券会社として「寄り添ってコンサルティングしていくのが付加価値の一つ」と述べた。
一方、日経平均が高値を更新する中、準大手・中堅証券の大半の株価は過去最高値から依然、開きがある。業績は市場動向に左右されやすく、26日時点で株価純資産倍率(PBR)が1倍を上回るのは丸三証券とアイザワ証券グループの2社にとどまる。
丸三証では、業績の不安定性が投資家にとっての魅力低下につながっているなどとして、今後5年間で投資信託残高を3000億円増やし、信託報酬による販売管理費のカバー率を前期(24年3月期)の44.5%から55%にまで引き上げることで、さらなる業績安定化を目指すとしている。
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--取材協力:鈴木偉知郎.
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Takashi Umekawa, Nao Sano