「靖国落書き男」に高須院長が懸賞金も…「逮捕できる? 中国の仕返しは?」に専門家の”意外な答え”
東京都千代田区の靖国神社で石柱に落書きが見つかった器物損壊事件で、実行犯として警視庁公安部から指名手配されたのは、中国籍の董光明容疑者(36)。現在は中国に逃亡中だが、『高須クリニック』の高須克弥氏は7月10日に自身のXに、 【衝撃写真あり】高須院長も被害を受けた「外国人ドロボー組織」金塊ザックザク 《賞金首めっけ。中国の人たちにお知らせします。この犯人を日本大使館に放りこんだ人の口座に10万ドル振り込みます。放り込み形式はどのようでもかまいません。早い者勝ち。》 と投稿し、董容疑者を捕まえたら10万ドル(約1570万円:20日時点のレート)を懸賞金として払うことを明かした。 董容疑者は落書き後に日本を出国。TBSが董容疑者に中国でインタビューに成功しているが 「出頭しないし、後悔もない、怖くもない」 と話している。 反省はおろか、福島第一原発の処理水の海洋放出に抗議するため、場合によっては再び日本に行き抗議を行うというのだ。しかし指名手配されているので日本に入国した瞬間に逮捕されることは目に見えている。 日本政府の資料によると、福島第一原発の「処理水」の予定海洋放出量は22兆ベクレル以下で、中国の複数の原発はその約6.5倍の放射性物質トリチウムを放出しているという。 「中国政府はそのような都合の悪いことは報道しない。SNSも自由にできない国なので落書きした容疑者本人も、本当に日本だけが処理水を出していると勘違いしているのかもしれません。日本の処理水のトリチウムの濃度は、世界保健機関(WHO)などの基準をはるかに下回っています」(テレビ局関係者) 一方、スプレーを購入するなど手助けした中国籍の姜卓君容疑者は日本国内で逮捕され、撮影役の許来玉容疑者は指名手配されている。 気になるのは、高須氏の投稿にあるように、もし董容疑者が日本大使館に“放り込まれた”なら、逮捕、移送はできるのだろうか……。 大使館事情に詳しい国際ジャーナリストによれば、 「大使館内で人を殴るなど、その場で罪を犯したのなら“私人逮捕”はできるかもしれません。ですが、基本的に大使館員には逮捕権や捜査権はないので、たとえ日本の指名手配犯である董容疑者が大使館に来ても、大使館内は日本の領土とはいえ、逮捕することは難しいでしょう」 と話すように、逮捕へのハードルは高そうだ。 それでも、困難を乗り越え董容疑者を逮捕できたとして、心配なのは中国の“仕返し”だ。 例えば‘10年に起きた、沖縄県・尖閣諸島付近で違法操業していた中国漁船と日本の海上保安庁との間で発生した中国漁船衝突事件では逮捕した船長を拘留したが、中国政府が猛反発して報復措置を取られた。日本政府は中国の強硬姿勢に及び腰になり、船長を突如チャーター機で帰国させたことがあった。 また現在、『反スパイ法』によっていまだに5人が拘束されている。“嫌がらせ”のように邦人が逮捕される可能性もあるかもしれない。 その点について、中国の諜報活動に詳しい『日本カウンターインテリジェンス協会』代表理事の稲村悠氏に聞くと、 「漁船拿捕の時とはまったく性質の違う事案になります。ですので、中国からの“仕返し”という点ですが、逮捕し返すという極端に強硬なことはしてこないと考えられます。1つは、動画を撮影した背景が、董容疑者が炎上効果を狙った“迷惑系”YouTuberの性質が強いということ。中国としても彼らを100%肯定しているとは、到底思えない。そもそも、中国体制側からすれば、このように過激な活動を行う董容疑者らは、いつ中国体制側に矛先が向くかもわからない過激な活動家、すなわち脅威になりかねないという認識であると推察します。 2つ目は反スパイ法は主に国内防諜活動としてスパイを取り締まる法ですが、これにより日本人を逮捕しているところは国家安全部という防諜を担う機関です。この国家安全部がスパイ組織や個人を認定する権限を持ち、中国国内で国家安全を脅かす活動を行った際に反スパイ法などを用いて検挙を行います。先に述べた本件の性質や中国体制側の董容疑者らに対する認識を踏まえても、報復として国家安全部が日本人を拘束し返すということは考えづらいです」 と分析した。 意外にも董容疑者が逮捕されても、中国は極端な姿勢をみせないという。果たして、彼が逮捕される日は来るのだろうか――。
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