小学校の前で“車突っ込む” なぜ?“無差別事件”相次ぐ中国 運転の男は取り押さえ
──そもそも、人々が自暴自棄となるその要因としてはどんなことが考えられるのでしょうか。 中国では、経済の低迷が続き、格差は広がり、社会保障制度も整っていない中で、将来に対する不安が市民の間に広がっています。こうした不安が、社会への不満につながり、そして無差別殺傷事件という形での「社会への報復」を招いているといえます。 中国政府は、不安や不満の高まりが、政権への批判につながることを警戒して、さらに国民を締め付けることで新たな事件を防ごうとしていますが、根本的な国民の不安や閉塞(へいそく)感を解消できない限り、問題の解決にはつながらないといえそうです。 ──柳沢さん自身もいま北京で生活していて、街の中で不安に思ったり、怖い思いをすることは実際にありますか? 北京で暮らしていると、とにかく多くの数の監視カメラがありますので、実際に事件が起きる頻度というのは非常に低いんです。実際に暮らしていると、怖いな、危ないなと感じることはなく、女性が夜中に1人で歩いていても安心といえるような状況です。ただこうした安心・安全というのは、当局による徹底した監視と引き換えに与えられているものではあるので、中国国民の中では、精神的な圧迫感や閉塞感というのは広がっているといえると思います。