「派閥の時代は終わった」麻生太郎氏、派内統制効かず“キングメーカー”終焉か…「党内でいじめられるかも」“長男世襲”にも暗雲
麻生太郎自民党副総裁を会長とする麻生派は、所属議員54名を抱える“自民党唯一の派閥”だ。 【写真あり】麻生太郎氏、長男の「バンドボーカル時代」 岸田文雄首相は、政治資金パーティをめぐる裏金事件を受けて岸田派を解散。それに続くように、二階派、安倍派、茂木派、森山派も解散を決定したため、残るは麻生派だけになった。 2008年から2009年に総理、安倍晋三政権と菅義偉政権で副総理、現在の岸田政権で自民党副総裁と、要職を歴任してきた麻生氏。政界随一の実力者とされ、「安倍元首相、そして岸田首相も麻生氏には頭が上がらなかった」(政治部記者)と言われるほどだが、その麻生派に“崩壊”の危機が迫っているという。 「引き金を引いたのは『コバホーク』こと、小林鷹之前経済安保相です。8月19日、小林氏は総裁選出馬会見をしましたが、会見に同席した国会議員24人の中に、麻生派の衆院議員が山田賢治氏、斎藤洋明氏、務台俊介氏と3人いたんです。 同じ麻生派のベテラン議員である甘利明前幹事長については、麻生氏と距離があり、小林氏の支援にまわるということは周知の事実として知られていましたが……。 さらに、麻生派議員の中には小泉進次郎氏を推す議員もいるらしく、麻生氏の“抑え”がまったく効かなくなっています」(同記者) 麻生氏自身は、8月16日に同派閥の河野太郎氏の出馬を了承しているが、派閥として河野氏を支援する体制にはなっていないようだ。麻生派関係者はこう明かす。 「河野さんは仲間と飯を食べに行ったりすることがあまりないし、性格的にも少し“変わった人”なので、派内では『肌が合わない』と言う議員は複数いました。今回も河野支援にまわらない議員は少なくないと思います」 自民党ベテラン議員秘書は、「長らく続いた派閥の力学による総裁選が終わりを迎えたね」と話す。 「裏金問題で派閥が解散になったからといって『総裁選では派閥の力がものを言う』と考えていた。しかし、それはまったくの思い違いだった。 党内の衆議院当選4回以下、参議院当選2回以下のいわゆる若手議員の割合は、衆参とも5割を超えている。小林氏の立候補や総裁選を支えるのは、そうした若手議員たち。 今回彼らの行動を見て、もう派閥の時代は終わったと思った。同時に、麻生さんの“キングメーカー”としての役割も終わったようだね」(同秘書) これまで“数の力”を武器に長らく権力を握ってきた麻生氏は、8月20日に自民党役員会で「我々としても支えてきた甲斐があった」「内政、外交の全般にわたり成果を上げた」と、岸田氏の政権運営を評価した。前出の麻生派関係者は、麻生氏の現在の様子について、こう話す。 「岸田さんの政権運営を評価する言葉を発してはいましたが、総裁選で派内をまとめられなかったせいか、どこか寂しげな感じでした。 今は総裁選のことよりも、自分の後継者である長男・将豊氏の将来を心配しているようです。誰とは言いませんが、麻生さんに恨みを持っている政治家は少なくない。麻生さんに力がなくなれば、長男が衆院議員になった場合に『いじめられるのではないか』と不安で仕方ないようなんです。 こうした状況ですから、8月27日に横浜で開かれる派閥勉強会は『麻生派として最後になるかもしれない』と派内では囁かれています。でも、麻生さんはもう1期やってから、長男に引き継ぐのが既定路線。まさか、突然『引退する』などと言い出さないとは思うのですが……」 総裁選は党内秩序に変動をもたらしているようだ――。