ウォール街は地政学的緊張に控えめな反応…それよりも注目しているものは(海外)
ウォール街はこれまでのところ、イランのイスラエル攻撃に対して控えめな反応を示している。 米株価指数先物市場は2024年4月15日の時間外取引で上昇したが、指標となる原油価格は下落した。 これはトレーダーが地政学的な緊張よりも金利を懸念していることを改めて示すものだ。 トレーダーはイランのイスラエルへの攻撃による潜在的な影響をまるで無視したように見え、市場が地政学に無関心であることを改めて示している。 アメリカの株価指数先物市場は、2024年4月12日の荒れた取引からの損失の一部を取り戻すため、立会取引時間前に行われる時間外取引で上昇したが、中東における供給混乱の脅威にもかかわらず、指標となるブレント原油(Brent)とウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate)の原油価格は下落した。 一方、ゴールドと6つの通貨に対する米ドルの強さを示す米ドル指数(US Dollar Index)はどちらも下落して週の始まりを迎えた。これは、ボラティリティ(価格の変動率)が大きくなる可能性があっても、投資家がいわゆる「安全資産」を敬遠していることを示している。米10年国債の利回りは横ばいで推移した。 2024年4月15日、XTBのリサーチ・ディレクターであるキャスリーン・ブルックス(Kathleen Brooks)は、「両国間の対立がこれ以上エスカレートしないという兆しが市場の神経を落ち着かせている」と語った。イランは声明で「この問題は終結したと見なすことができる」と述べており、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、アメリカがテヘランに対するいかなる反撃にも参加しないことを示唆している。 ブルックスは調査ノートに、「イランの今回の攻撃はもっとひどいものになっていた可能性があったとの見方があるが、イランはけじめをつけ、問題は解決したと考えている」と記している。 「地政学的な観点からは、現在イスラエルの対応に焦点が当てられているが、イランによる攻撃の影響は限定的であり、G7が自制を呼びかけていることから、短期的には金融市場への影響は限定的かもしれない」 「最初の反応は安堵(あんど)だったようだ」と彼女は付け加えた。「週明けのドルの動きはかなり鈍く、米国債利回りはわずかに上昇しており、安全資産への逃避はなかったことを示唆している」 この2年間、市場の動きを追ってきた人なら、最近の中東情勢の緊迫化に対するトレーダーたちの反応が鈍いことに驚かないだろう。
George Glover