待望の今季1号の裏でまさかのジャビット人形投げ入れ失敗…強打の捕手苦笑い「ミスしちゃいました。久々すぎて」
◆日本生命セ・パ交流戦 巨人7―4ロッテ(6日・東京ドーム) 巨人がロッテを下し、2リーグ制後球団1万試合の節目を飾った。不振で2軍降格も経験した大城卓三捕手(31)が2回、球団通算1万1000号に王手をかける1号先制3ランを放つなど、2安打4打点。井上温大投手(23)は、7回途中3失点で622日ぶりの先発勝利を挙げた。6回に2点打を放った丸佳浩外野手(35)は打率リーグトップに浮上。チームは4カード連続勝ち越しを決め、セ・リーグ首位を守った。 【動画】復活!大城の豪快3ラン! 祈るような思いで放物線を見つめた。右翼席に飛び込む白球を確認した大城卓は、走る速度と表情を少しだけ緩めた。「最高です」。昨年9月21日の阪神戦(甲子園)以来、259日ぶりの今季1号。笑顔でベンチに戻ると、仲間の手荒い祝福に身を委ね、阿部監督とハイタッチした。観客席へ投げ入れるジャビット人形を一度、一塁側のネットに当て「ミスしちゃいました。久々すぎて」と笑った。 4月29日のヤクルト戦(東京D)以来の先発マスクに燃えた。0―0の2回1死一、二塁で西野の内角高め144キロを振り抜いた。バットを指2本分短く持ち、腕をたたみながら捉える技ありの一打に「(短く持つのは)2軍の時に試してみた。久しぶりに気持ちのいい本塁打が打てました」。阿部監督は「本人がコンパクトにっていう(意識で打ったのが良かった)。長く持っていたら右飛だったかもしれない」と対応力にうなずいた。 開幕から自身23試合で打率1割8分8厘とバットが湿り、5月8日に2軍降格。不振によるファーム調整は22年6月以来、2年ぶりだった。「タイミングの取り方がずれていて(感覚が)全然違うなっていうのがあった」。指揮官は「リフレッシュ」という言葉を使い、まずスイングのキレを取り戻すことを求めた。上半身を脱力したフォームの調整に励み、5月30日のイースタン・ヤクルト戦(G球場)で1号ソロ。この一発をきっかけにバットの素材をやや柔らかく、しなりやすいホワイトアッシュから硬くて反発力のあるメープルに変更するなど試行錯誤を続けてきた。 心境の変化は試合中の姿勢にも表れた。昨季はベンチの後列に座って戦況を見つめることが多かったが、今は首脳陣が座るネクストバッターズサークル側の前列に座り、声を張り上げる。村田総合コーチは「監督の言葉を拾おうとしているのも見える。(小林)誠司と岸田も結果を出しているのもあって『何とかしなきゃ』っていうのがある。ベンチでの過ごし方が全く変わったし、応える結果が出てほしいとみんなも思っている」。そのナインと首脳陣の思いに応える一打を放った大城卓に、阿部監督は「野球を楽しそうにやっている。だからこそああいう結果が出たと思う」と目を細めた。 豪快な復活弾で2リーグ制後の球団1万試合目を飾り、4カード連続勝ち越しを決めた。「初心に戻って、少年のような気持ちが改めて大事だなと思いました。ファームにいた時間がいい期間だったと思えるように明日以降もやっていきたい」。背番号24の復調が、首位の巨人を明るく照らす。(内田 拓希) ◆記録メモ 巨人が1950年の2リーグ制後、通算1万試合に到達した。プロ野球8チーム目(セ3チーム目)。シーズンの打ち切りや引き分け再試合、セ・パによるシーズン試合数の違いなどから、2005年に参入の楽天を除くパの5球団はすでに記録しており、セの残り3球団も今月中に到達しそうだ。 通算成績は5512勝4154敗334分けの勝率・570。ソフトバンク(前身球団を含む)の5165勝、勝率・535を抑えて巨人が最多勝、最高勝率になる。なお、1リーグ時代を合わせた通算成績は1万1221試合、6295勝4564敗362分けの・580で勝利、勝率ともにトップ。こちらも2位はソフトバンクで5651勝の・530となっている。
報知新聞社