【高校サッカー全力新聞】香川・大手前高松「華麗なるパスサッカー」目指すはベスト8
香川県は日本一小さな県ですが、県庁所在地の高松市は国の出先機関や企業の支店が多いコンパクトシティーでもあります。海や山が近い自然の豊かさと、都会的な便利さが共存する高松市。この街から全国大会に出場するのは3大会ぶり3回目となる大手前高松。 【画像】香川・大手前高松 12月28日に開幕を迎える全国選手権大会の初戦は、12月29日の1回戦、北海道代表・北海と対戦します。
■文武両道の進学校!野球部はセンバツ甲子園21世紀枠の県推薦校に
大手前高松は、中高一貫校で全員が大学受験を目指す進学校です。部活動は、2010年に硬式野球部とサッカー部を強化クラブとして位置づけ、専用グラウンドを学校外に設置。 ちなみに「硬式野球部」は、今年秋の県大会で初優勝を果たし、2024年春センバツ高校野球の21世紀枠の香川県推薦校に決定しています。 他にも「囲碁部」の全国大会出場や、部以外でも「乗馬」や「競輪」の国体選手も輩出する「文武両道校」としても知られています。
■背番号に秘められた監督の「気づき」
「サッカー部」が全国選手権大会に出場したのは過去2回(98回・99回)。初出場の98回大会には現3年生MF糸瀬勇哲選手の兄・英哲さんが同じ背番号4番として出場しています。そんな兄は県大会準決勝の試合をみて「小学生ぶりに試合を観た。ヘディングの競り合いの部分や運動量・走力の成長ぶりにびっくりした」と弟の活躍を振り返りました。 また、弟の勇哲選手は「兄の一個上をずっと目指してやってきた。全国で兄は1勝しているので2勝を目指したい。兄を超えたい」と意気込んでいます。 兄と同じ背番号で同じ全国の舞台。ただ、MFがどうして4番なのでしょうか。そこには川上監督の「気づき」がありました。糸瀬勇哲選手は入学時からずっとCB。ただ「守りから出発する保守的なポジションではなく、前の方にいて勝気なポジションの方が良いのでは」と思い、新チームになってから思い切ってMFにコンバート。すると糸瀬選手の「前向きな性格」がはまり上手くいきはじめました。 川上監督は「選手の『性格』を踏まえてポジションを決めた。今まではその発想がなかった」と口にします。そのことに気付かせてくれたのは『4番』の糸瀬勇哲選手。「その時の気持ちを忘れないようにMFのポジションでも4番」と、そこには川上監督の『気づき』が秘められていました。
■「華麗なるパスサッカー」大手前高松
そして29日に行われる初戦に向けて川上監督は「キーマンは全員。相手をリスペクトしすぎず、自分たちのサッカーがどれだけできるかがカギになる」と意気込みます。 ボールを動かして、数的優位を作りパスを繋ぐ。それが大手前高松のサッカースタイル。「全国では、個々の身体能力やフィジカル面で相手が上回ってくることがあると思うが、ボールを奪い数的優位を作ってゴールを狙うサッカーができれば」と話します。 3大会ぶり3回目の全国出場となる今大会の目標はベスト8。目の前の勝利にこだわり、華麗なるパスサッカーで観客を魅了する大手前高松に注目です。 (取材・文:高校サッカー選手権民放43社/西日本放送)