血管の若返りや免疫力UPも「みそ汁」のスゴイ効果 肝臓専門医が解説「具材に何を入れるかがミソ」
例えば、筋肉量の低下によって運動機能が低下したり、基礎代謝が落ちて肝臓に脂肪がつきやすくなります。 また、ウイルスや細菌などから体を守る抗体は、免疫細胞から作られています。免疫細胞はタンパク質、つまりアミノ酸から作られているため、アミノ酸が不足すると免疫細胞が減り、ウイルスや細菌に感染しやすくなってしまうおそれがあります。 そのほかにも、皮膚トラブルや、薄毛、抜け毛といった髪のトラブルも発症しやすくなります。
さらに、脳内のドーパミンやセロトニンといったホルモンも、アミノ酸から作られています。アミノ酸が不足してこうしたホルモンが分泌されにくくなると、集中力や思考力が低下してしまうことが考えられます。 このように、アミノ酸は人間が健康に生きるための根幹を支える栄養素。いつまでも若々しく元気でいるためには、毎日のみそ汁生活で、必須アミノ酸をまんべんなく摂ることが重要なのです。 ■カリウムは腎臓を助け血圧を下げる
ひと昔前までは、「みそは塩分が高く、高血圧やむくみの原因となる」と考えられてきました。しかし、近年の研究により、みそ汁を飲んでも血圧は上がりにくい、むしろみそ汁には血圧の上昇を抑える働きがあるということがわかってきました。 これは、みその中に、血圧上昇を抑える成分や、腎臓からの塩分排出を促す働きをする成分があるためと考えられますが、その1つにカリウムの存在があります。 カリウムは、成人の体内に約200g含まれているミネラルの1つで、そのほとんどが細胞内に存在し、細胞外のナトリウムと連携をして、細胞の浸透圧や体液のpH(イオン濃度)などを調節しています。
また、体内のナトリウムが過剰になると、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え、尿として排出を促す働きもあります。これにより、ナトリウムの過剰摂取で血圧が上昇するのを抑え、高血圧を予防・改善する効果が期待できます。 カリウムの1日の摂取目安量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、成人男性で3000mg以上、女性で2600mg以上とされています。 みそ汁1杯(みそ15g)のカリウム量は、およそ65mg(米みそ・だし入りの場合)で、みそ自体には血圧を下げるほどのカリウム量は含まれていないのですが、みそ汁の具として相性のよい、じゃがいもやかぼちゃ、ほうれん草、玉ねぎといった野菜にはカリウムがたっぷりと含まれています。
そのため、具だくさんのみそ汁を毎日飲むことで、無理なくカリウムを摂取することができ、高血圧の予防・改善に効果が期待できるというわけです。 また、女性の悩みに多いむくみは、体内のナトリウムが過剰になったときに水分を溜め込んでしまうことで起こります。カリウムを十分に摂ることで過剰なナトリウムが排出されると、むくみの予防にもつながります。
栗原 康 :政治学者