京都地裁

　世界遺産・仁和寺（京都市右京区）門前での高級ホテルの建設計画を巡り、景観の悪化や交通渋滞の恐れがあるとして、近隣住民ら51人が京都市に建設の特例許可の取り消しを求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が19日、京都地裁（植田智彦裁判長）であった。市側は請求を棄却するよう求めた。 【地図】世界遺産・仁和寺がある京都市右京区 　同ホテルは仮称「京都御室花伝抄（おむろかでんしょう）」で、寺の南側に位置する場所に、共立メンテナンス（東京都）が地上3階、地下1階、延べ床面積約5800平方メートルで計画している。訴状によると、ホテル建設によって交通量が増加し周辺の住環境が悪化する恐れがあるほか、良好な景観が失われる、などとしている。 　原告の男性（47）=右京区=が意見陳述し、「一度壊された景観を元に戻すのは困難。子どもたちの世代にもこの住環境を残せるように適切な判断をお願いしたい」と訴えた。 　市によると、予定地は建築基準法上、大型宿泊施設を原則建てられない地域だが、市が「住居の環境を害する恐れがない」と判断すれば特例で許可される。同ホテルは地域活性化を目的とした市独自の「上質宿泊施設誘致制度」に認定され、昨年3月に特例許可が下りた。市は「適切に手続きを行い、許可したものと認識している」としている。