ハタハタ釣り中の転落事故、12月に集中…秋田海上保安部「悪天候の日を狙うのは控えて」
秋田の冬の風物詩である季節ハタハタの時期を迎え、秋田海上保安部は釣り人が海へ転落する事故を防止しようと警戒を強めている。過去10年間で海に転落した釣り人のうち約半数が12月に集中しており、同海保は「悪天候の日や波の高い日は控えてほしい」と呼び掛ける。(橋立大駿) 【図】海中に転落した人、こんなにいる
「今日釣りへ来ることを家族や友人に伝えていますか」。18日、男鹿市の門前漁港で同海保の職員が釣り人に注意喚起した。家族に行き先や帰宅時間を伝えることで事故に遭った際、素早い捜索が行えるという。
注意喚起は同市の塩瀬埼灯台周辺でも行われ、複数人で行動することや、立ち入り禁止区域に入らないことなど、事故を防ぐための呼びかけを行った。潟上市から1人で釣りに来ていた40歳代の会社員男性は「改めて気をつけようと思った」と話していた。
同海保によると、過去10年間の釣り中の海中転落は31人。月別では1~11月が各月0~4人で推移し、季節ハタハタの最盛期を迎えた12月は15人に急増した。海中転落による死者・行方不明者も、過去10年間の16人中約4割の6人が12月に集中していた。
12月に事故が増える理由について、同海保交通課の佐藤大輔課長(56)は「普段釣りをしない人も季節ハタハタを求めて来るため、ライフジャケットなどの装備が不十分だ」と話す。
また、天候が荒れた日に接岸しやすいと言われる季節ハタハタを狙って悪天候でも釣る人がいることや、海水温が低く、転落した場合の死亡リスクが高まることも、事故件数や死者数の割合を押し上げているとみられる。
転落した場合、生存率を上げるには救命胴衣の着用が有効だ。同海保によると、海へ転落した31人のうち、救命胴衣を着けていたのは13人で、そのうちの10人(77%)が無事に救助された。着けていなかった18人のうち、無事だったのは5人(28%)だった。