北浦の伝統行事「サバー送り」
山口朝日放送
毎年この時期、長門市から下関市にかけての道沿いで見かける不思議なわら人形。 知る人ぞ知る「サバー送り」。わら人形の出発式にあたる神事がありました。 長門市の飯山八幡宮に祀られていた騎馬武者姿のわら人形。 稲の害虫ウンカの化身「サバーサマ」、 そして源平合戦で敗れた平家の武将・斎藤実盛を模した「サネモリさま」です。 斎藤実盛は稲の切り株に足を取られて討ち死にしたとされ、 その怨念が害虫になったと伝わっています。 「サバー送り」はこの2体を地域の外に送り出し害虫を追い払うことを祈る 江戸時代から続く伝統行事です。 道端に置かれるサバーさまたちに気づいた人がリレー形式で次の場所に運びます。 =上田久充宮司= 「(Q市民、町民の方々のご協力がある?)協力というか、 そうですね気づいた方が送られるので、下手したら今、分からない方は 不法投棄みたいな扱いをすることもあって。 それはそれで面白いなと思うんですけども」 神事が終わると軽トラックに載せていよいよスタート。 これから1カ月以上かけ下関市の海岸まで送り継がれます。 わら人形はまず旧長門市と日置町の境にあるトンネルに置かれました。 約30分後。サバー送りが始まったと聞きつけた住民が現れ、 どこかへ運び去っていきました。 =上田久充宮司= 「(Q最後はどこに行ったか分からないまま終わる?)そうですね、 海に流したりするんですけど、まあこっちは知る由もないので、 あとはもう知らん顔をしていて、送り出したらですね。 ただし虫が付かんようにこっちはひたすらに祈るだけです」 長門市の奇祭・サバー送り。 道端のわら人形は住民たちの思いを一身に受けてたたずんでいます。