マン・オブ・ザ・マッチは選べない

伊藤（写真）は堂安ら主軸を上回るようなプレーを見せられなかった。(C)SOCCER DIGEST

　元日の国立で、日本はタイに5－0で勝利した。 　前半は少してこずって、点を取れなかった。タイは懸命に守っていたけど、FIFAランキングで113位の実力通りに見えた。それなのに、日本の攻撃は今ひとつ。2列目で起用されて代表デビューを飾った伊藤や奥抜は、代表の主軸選手を上回るようなパフォーマンスを見せられなかった。 【PHOTO】史上初の元日代表戦！国立競技場に集結した日本代表サポーターを特集！（Part1） 　一方、後半から途中出場した堂安ら常連は、格の違いを見せつけた。ただ、これはいつも言っているけど、実力差が大きいと、みんなが上手く見えるから選手の評価はできない。だから、マン・オブ・ザ・マッチは該当者がいない。選ぶとすれば、全選手になってしまうからね。 　厳しい言い方になるけど、日本代表の強化にはならなかったと思う。目前に迫っているアジアカップでは、タイよりもはるかに強い相手と戦わなければならないんだ。 　年の初めの、おめでたい元日に、国立は満員だった。ヨーロッパや南米の強豪国ではあまり考えられないけど、強くない相手との戦いでも多くの観客が来てくれる。まあ、イベントとしては大成功だったね。 　ただ、今回は特別な感じで、毎年開催できるかというと、考えにくい。この時期はイングランドやスペインではリーグ戦が行なわれているし、国際Aマッチの割り当てもなく、選手を集めるのが難しいからだ。 　ともあれ、2024年が始まった。タイ戦が終わった直後に、北陸地方で大きな地震が起きてしまった。地元の皆さんが、とても心配だ。新年早々、大変な事態になってしまったけど、とにかく無事であることを祈りたい。 　野球界では、大谷選手や山本選手のドジャースとの大型契約が大々的に報じられ、盛り上がっている。サッカー界からも、明るいニュースを聞きたい。今年は、アジアカップやパリ・オリンピックが行なわれる。良い成績を収めて、盛り上げてほしいね。 【著者プロフィール】 セルジオ越後（せるじお・えちご）／1945年7月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部（現・湘南ベルマーレ）で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。