Netflixシリーズ『となりのMr.パーフェクト』独占配信中

人気を集めているNetflix配信ドラマ『となりのMr.パーフェクト』は、チョン・ヘインが扮するチェ・スンヒョとチョン・ソミンが演じるペ・ソンニュという、幼なじみで同級生同士のラブロマンスを描いたドラマだ。その第12話で、とても面白い場面があった。（以下、一部ネタバレを含みます） ■ Netflix人気ラブコメ『となりのMr.パーフェクト』元祖“国民の年下男子”チョン・ヘインの笑顔が眩しすぎる!ひまわり畑の撮影オフショット

■Netflix人気作『となりのMr.パーフェクト』チョン・ヘイン扮する主人公が読んでいた本の作者、丁若はどんな人物?チョン・ヘインとの関係は?

『となりのMr.パーフェクト』12話。スンヒョとソンニュの会話の中に『牧民心書』という本の話が出てくる。この本は、19世紀前半に丁若（チョン・ヤギョン）が書いた名著であり、韓国で特に有名な古典だ。 　この本をスンヒョが持っていても、ソンニュは実にそっけなかった。 「いま、そんな本を読んでいる人がいるの?」 　あきれたようにソンニュは言って、『牧民心書』にまるで無関心だった。すると、スンヒョが熱く語りだした。 「古典は時代を読むヒントになるんだ。どうやって生きていけばいいのか……そのことを悟らせてくれる」 　このように必死になって『牧民心書』について語るスンヒョ。この場面が痛快なのは、スンヒョを演じているチョン・ヘインの6代上の先祖が丁若だからだ。 　そのことは韓国でよく知られているので、このシーンを見た韓国の視聴者は思わずニコリとしたことだろう。 　改めて丁若のことを紹介しよう。 　彼は、朝鮮王朝時代の思想家・実学者として著名だ。生まれたのは1762年で、科挙に受かったのが1789年のことである。 　以後、実学に卓越した官僚として活躍し、イ・サンこと正祖（チョンジョ）が水原（スウォン）で城郭を建設するときに起重機を巧みに作って一躍有名になった。 　順風満帆だった丁若の運命を変えたのが、1801年に起こった「辛酉（シニュ）迫害」だった。これはどんな事件なのか。その背景を説明しよう。

　正祖が存命中は天主教（キリスト教）も禁制ながら一応は黙認されていた。その正祖が1800年に亡くなると純祖（スンジョ）が後継ぎになったが、まだ10歳だったので王族最長老の貞純（チョンスン）王后が政治を代行した。彼女は英祖（ヨンジョ）の二番目の正室だった女性である。 　この貞純王后は政敵に天主教の信者が多かったので、この宗教を徹底的に弾圧するようになり、多くの人が処刑あるいは流罪にされた。この悲劇が「辛酉迫害」なのである。その渦中に丁若も全羅道（チョルラド）に流罪となり、それが18年間に及んだ。 　ただし、彼は不運を嘆いてばかりではなく、著述に専念した。そのときに書かれたのが『牧民心書』であり、不朽の名著という高い評価を得た。 　その後、流罪が終わって都に復帰した彼は、思想・実学の両部門で偉大な業績をあげて、1836年に亡くなっている。そんな丁若から6代下の直系子孫がチョン・ヘインなのである。 　まさかチョン・ヘインも、自分が主演するドラマの中で偉大な先祖の名著を取り上げることになるとは、夢にも思わなかったことだろう。 ●配信情報 Netflixシリーズ『となりのMr.パーフェクト』独占配信中 [2024/全16話]演出:ユ・ジェウォン『海街チャチャチャ』『イルタ・スキャンダル 恋は特訓コースで』『空から降る一億の星』　脚本:シン・ハウン『海街チャチャチャ』『王になった男』 出演: チョン・ヘイン、チョン・ソミン、キム・ジウン、ユン・ジオン、パク・チヨン（ジヨン）、チョ・ハンチョル、チャン・ヨンナム、イ・スンジュン、チョン・ソクホ、キム・クムスン、ハン・イェジュ、イ・スンヒョプ（N.Flying）、シム・ソヨン