【カケル×サンイン】路線バス維持の“救世主”に期待 鳥取市が導入目指す「自動運転バス」運行実験に密着
山陰中央テレビ
TSKさんいん中央テレビと山陰中央新報のコラボ企画「カケル×サンイン」。共通のテーマをテレビと新聞、それぞれの視点で取材し、ニュースの核心に迫ります。今回のテーマは「自動運転バス」。路線バスの運転手不足を背景に、鳥取市では自動運転バスの導入を目指し、実証実験が繰り返されています。路線維持への救世主となるのか。自動運転バスの今を取材しました。 鳥取市内を走る自動運転バス。12月13日から実証実験が始まっています。実験に使われているのは、愛知県名古屋市を拠点にするソフトウェア会社ティアフォー製の小型EV自動運転バス「Minibus」です。全長7.2メートル、幅2.3メートル、高さ3メートル。乗車定員は、運転手を含め25人。最高速度は時速35キロで、2時間の充電で約150キロ走行できます。車体の前方、後方などに16個のカメラを搭載し、障害物や人を検知。また、センサーで障害物と車両の距離を計測し、前方約100メートル先から自動で減速し、停止します。 担当者: 昨年は80%ほどの自動運転化率だったが、2割ほどが手動でしていましたが、今年はそこを解消しておりまして、自動運転で進めていく。 実は、今回鳥取市で行われる実証実験は3回目。2022年に鳥取砂丘周辺、2024年1月から2月にかけては鳥取市内で実施しています。これまでの結果を踏まえ、今回はコースを変更して実証実験に臨みました。 前回のコースはJR鳥取駅前から若桜街道を通り県庁前、仁風閣、再び県庁前から若桜街道へと時計周りに運行しましたが、今回はJR鳥取駅前から若桜街道、県庁前、鹿野街道を反時計回りに運行。右折回数を、前回の5回から3回へと減らしたルートにしました。また、実際の運行を想定して、途中4か所に停留所が設けられました。さらに、赤信号で確実に停車するため、ルート上にある信号機のデータと連動。路肩に止まる車を自動運転で避けられるよう、プログラムを改修したということです。 鳥取市交通政策課・宮谷卓志課長: 前回の実験では8割自動で走れたので、今回は9割以上目指している。100%に近づけていって、なるべく早く無人で運転できるようにできたらと思っている。 自動運転バス導入の背景にあるのは、運転手不足と将来のバス路線の維持です。鳥取県バス協会によると2016年度末に544人いた運転手が、2023年度末は399人と3割減少。バス車両も85台減りました。また鳥取市によると、この10年間で青谷町や気高町など7地区で路線の短縮・廃止・減便が相次ぎ、運転手不足も続いていましたが、この状況に新型コロナが追い打ちをかけました。 鳥取県バス協会・橋本孝之専務理事: 運転手は減っていたが、先のコロナ禍で移動抑制とかでバスの需要が急激に減った関係で、経営者の中では、このコロナ禍での減少が10年分の減少になっているという表現をされるかたもいる。 バスの運転手の平均年齢は60歳と高齢化が進んでいて、自動運転バス導入への期待は大きいといいます。 鳥取県バス協会・橋本孝之専務理事: 業界としては運転手への補完となるし、活性化への大きなインパクトとなると思います。 この日、市民が自動運転バスに試乗しました。試乗会は、12月13日から24日までの合わせて10日間実施され、400人以上が参加しました。 乗客: ちょっとガクっとくるところがあるけど、でも安心できる。いいんじゃないですか。便数が増えればいいと思う。 乗客: 安全面では、安全すぎるぐらいなマージンとってる気がする。こういう乗り物が増えてくるんでしょうね、きっとね。 鳥取市では、今回のデータをもとに今後も実証実験を重ね、有料の路線バスとしての導入を目指します。 鳥取市交通政策課・宮谷卓志課長: 実用化に向けては、路線バスの置き換えを考えていますので、運転手がするところと自動運転がするところのすみわけが必要ですし、あとはメンテナンスの体制や費用面でも課題になってくる。自動運転バスを通じて公共交通に関心を持っていただいて、公共交通全体の利用を増やしていきたい。 自動運転バスは路線バスの維持、そして、公共交通を活性化させる救世主となるのか。早期の導入に期待が高まります。
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