「プーチンならやりかねない」…国外脱出したジャーナリストとドキュメンタリー監督が語る、プーチンの「本当のヤバさ」
「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第15回 『「ロシア系住民も、『解放』なんて望んでいない」...ジャーナリストがウクライナ国境で目にした、残酷すぎる「侵攻の現実」』より続く
ヴェルトでの初仕事
「まもなくこの飛行機はベルリンに着陸いたします」フライトアテンダントが機内アナウンスで告げた。わたしは窓の外を見た。眼下にはきれいに手入れされた平らな畑と、住み心地のよさそうな小さな家々が広がっていた。 巨大なブランデンブルク空港では『ヴェルト』紙の社員が迎えてくれた。 「フライトはどうでしたか? こちらの出口です。あなたの長期労働ビザは有力者を通して話をつけました。ビザ用の写真を撮って書類を提出してください」 わたしたちのタクシーは大きな長期滞在用ホテルに近づいた。『ヴェルト』の社員がもう2人、わたしたちを待っていた。エレベーターで5階に昇った。 「安全面を考えて偽名で予約しました。これがあなたの携帯用の新しいSIMカードです。まずは休息をとってください。あとで連絡を取り合いましょう」 男たちが帰り、わたしは荷物の整理を始めた。
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