中国の国民的俳優シャオ・ジャンが見せる“夢を追うことの難しさ”と“情熱の価値” レトロな魅力が詰まった「春を待ちわびて」
シャオ・ジャン×リー・チンという二大人気俳優が共演する中国ドラマ「春を待ちわびて~The sea in the dream~(原題:夢中的那片海)」。1970年代から始まった中国の文化大革命によって、価値観に劇的な変化が生じた時代に生きる若者たちの物語だ。衛星劇場にて6月11日(火)より日本初放送が決まったこの機会に、人気街道をひた走るシャオ・ジャンの軌跡と同作を振り返る。 【写真】胸キュン、シャオ・ジャンとリー・チンが自転車を2人乗りする場面カット ■文化的な教養とマルチな才能を持つシャオ・ジャン 同作で主演を務めるのはシャオ・ジャン。彼は勉強だけでなく文化的教養も大切にしていた父の教育方針で、幼い頃から絵やヴァイオリンなどを習っていた。大学では合唱部のリーダーを務めたり、歌のコンテストで入賞したりするなど、音楽の才能にあふれていたという。 そんな彼が芸能界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、アイドル育成番組。大学の先生から連絡先を聞き出した番組側が、シャオ・ジャンをスカウトした形だ。オファーを受けたシャオ・ジャンは歌手になりたいという幼いの頃からの夢を叶えるべく、番組出演を快諾。数々の審査ステージで審査員や視聴者の心を掴んだ彼は、X玖少年団(X-NINE)のメンバーとしてデビューを果たした。 俳優としても「華麗なる皇帝陛下」「蒼穹の剣」「斗羅大陸 ~7つの光と武魂の謎~」といった話題作の数々に出演。“あざとい”と言われるまでの端正な顔立ちと、エネルギッシュな演技によってお茶の間の人気者に。 特に代表作として有名なのは、ワン・イーボーと共演したドラマ「陳情令」。演じたのは華美な衣装に身を包み、サラサラの長髪をなびかせる魏無羨(ウェイ・ウーシエン)という美青年だ。まるで二次元から飛び出してきたように美しい姿で魅せるワン・イーボーとのブロマンスは、多くのファンをトリコにした。 同ドラマが大ヒットしたことにより、人気実力派イケメン俳優の地位を確立したシャオ・ジャン。「陳情令」記念コンサートのチケットは瞬く間に完売し、タイでのファンミーティングの際には彼を一目見ようと空港にファンが何千人も押し寄せたほど。 絶大な人気を誇るシャオ・ジャンだが、愛らしく親しみやすい素顔を持っていることでも知られる。同ドラマで相棒である藍忘機(ラン・ワンジー)を演じたワン・イーボーとは、まるで小学生のような喧嘩をしたこともあったとか。また人見知りなところがあり、「陳情令」では共演者から「最初はとても冷たいと思った」という印象から「とても良い人」といった印象に変化したというエピソードもある。 ファンからは“あざとかわいい”と親しまれているシャオ・ジャン。彼が「春を待ちわびて」で演じたのは、明るくリーダーシップあふれる好青年だ。 ■シャオ・ジャンの魅力がつまった「春を待ちわびて」 シャオ・ジャンが主演を務める「春を待ちわびて」は、まっすぐな心を持った青年の青春と成長の物語。1970年から始まった中国が激動する時代に生き、そのなかで夢を追うためにもがく青年たちを描いている。 シャオ・ジャン演じるシャオ・チュンションは、明るく前向きな性格。優れたリーダーシップを持ち、信頼と尊敬を向けられる兄貴分といった存在だった。町の不良たちとケンカをしたり、幼なじみたちと友情を育んだりという普通の青春を謳歌する日々。将来は尊敬する父と同じように軍へ入ることを目指していたものの、家の事情が原因で軍になかなか入れないというところだけが不安だった。 親友で軍への入隊を夢見るイエ・グオホワ(リウ・ルイリン)、彼が惚れたマドンナ的存在であるホー・ホンリン(ツァオ・フェイラン)、チュンション友人で軍幹部の父親を持つお嬢様トン・シャオメイ(リー・チン)。そんな周りの友人たちと切磋琢磨しながら大きな成長を遂げたチュンションだったが、念願の入隊後に特別任務の遂行中の負傷で夢への道が途絶えてしまう。 追い続けてきた夢の道が途絶えたことに絶望し、北京に戻ったチュンション。しかしさまざまな仕事に就いて働くうちに、仲間たちとともに急激な変化を遂げていく新しい社会へ向き合っていく。市場経済に移行していく情勢を見極め、ビジネスを立ち上げたのだ。 1970年代の“オールド中国”ともいうべき北京に生きる若者たちを主人公に描いた「春を待ちわびて~The sea in the dream~」。小物やファッションといった豪華なセットはもとより、“素敵なファンタジー”ではなく“避けがたいリアル”を描いた展開にも注目が集まった。 怪我による挫折、周囲の環境との摩擦、理想と現実…。同作は夢を追い続けることの難しさを率直に描きつつ、それでも前向きに生きることの美しさ・素晴らしさを描く。無気力な空気が世にはびこるいまだからこそ見たい同作は、衛星劇場で6月11日(火)夜9時から第1話が放送される。