「日本のパシリ」呼ばわりの尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、"中間評価"で苦境に!! 韓国でまた苛烈な日本バッシングが始まる!?
だが、この話は1945年で終わるものではない。 「この層の子孫は、日本からの解放後も保守派として既得権益などの甘い汁を吸ったとされ、韓国の革新系の目の敵となっています。自分たちが抑圧されてきたのは、日本と結託した層が社会にはびこってきたからだ、と」 「共に民主党」のこの手法は、今回に始まったものではない。2019年の「NO JAPAN運動」のときもそうだったし、23年5月の日韓首脳会談時にも痛烈な発言を繰り出していた。 対立する尹錫悦大統領の「過去の問題で未来を閉ざすばかりではいけない」という発言を「日本が望むものはすべて差し出す『パシリ外交』」と斬り捨てた。 さらに昨年8月は福島第一原発の「処理水」の海洋放出についても「日本の核汚染水放出は第二の太平洋戦争として記録されるだろう」と厳しく非難した。 ■2027年の大統領選に要注目 一方、「共に民主党」のこういった手法について疑問を呈する声もある。「親日フレームはもはや韓国のミレニアル~Z世代にとっては古くさく、まったく響かない」とは以前から言われている。これをより厳しく批判するのは、保守政党「国民の力」所属で、ソウル市冠岳区議会副議長を務めるミン・ヨンジン氏だ。 「そもそも日本統治時代の『親日派』は、当時の朝鮮半島の人口のわずか1%ほどだったといわれています。それも初代保守系政権の李承晩大統領時代にすでに『反民族行為特別調査委員会』が設立されるなど、親日派への取り締まりが行なわれていた。 現在の『親日フレーム』は単に相手を批判する手法のひとつ。今回の選挙結果に大きな影響を与えたとはみていません」 確かに、今回は政党の政策よりも尹大統領の評価が大きな争点となった。また、外交より国内問題への関心が高く、事前の世論調査では物価高や大学医学部の定員増決定の是非なども関心事とされた。 日本では今回の選挙について「野党圧勝、尹錫悦大統領弾劾で日韓関係も危機に」という予測もあったが......。 「仮に無理やり国会で尹大統領を訴追しても、憲法裁判所が否決すれば訴追した側が甚大なダメージを受けます。04年の盧武鉉大統領訴追案提出時は、実際にそうなりました」(日韓両国で活動する朴寅東弁護士) 結局、韓国での日本バッシングの多くは「相手陣営を批判するためのもの」であり、そのベクトルが日本に直接向くのは日本側に大きな動きがあったときだ。2019年の「ホワイト国除外」「NO JAPAN運動」がそうだった。 一方、今回の選挙で確実になったのは、李在明代表の立場が党内でより強固になったこと。現地メディア『ノーカットニュース』はこう評する。 「自らに近い候補ばかりを擁立し、『私党化』とも指摘された李在明代表による党の掌握が強まる結果となった」 李氏は2027年の大統領選挙への出馬が確実視されている。自らの支持基盤拡大のため、今後も親日フレームを使い続ける可能性は大いにある。彼が当選すれば、日韓暗黒時代の再来も予想される。状況を注視していきたい。 取材・文/吉崎エイジーニョ 写真/Yonhap News Agency、共同通信イメージズ