大物弁士巡り思惑交錯 野党、相次ぎ投入し国政選挙に弾み/自民は見送り政党色抑える【静岡県知事選】
26日投開票の静岡県知事選では、野党の大物弁士が相次いで県内入りし、国政選挙に弾みをつけようと党代表や首相経験者がてこ入れを図る一方、自民党はあえて党幹部の投入を見送り、政党色を抑えて「オール静岡」をアピールしている。政党の公認、推薦を受ける各陣営の思惑が交錯する中、支持拡大に向けた動きが激しさを増している。 「自民党に任せてきたうん十年、地方は衰退している」。19日に沼津市で開かれた元浜松市長鈴木康友氏の決起集会。立憲民主党の泉健太代表が訴えた。「ものすごい数の推薦状や締め付けに関係なく、県民が判断したのが長崎や島根だ」とも述べ、全勝した4月の衆院3補選の勢いを本県の知事選にもつなげようと聴衆を鼓舞した。 同日には国民民主党の玉木雄一郎代表が裾野市で応援演説し、「民間の活力を生かした経験を、今度は静岡県全土でやってもらおう」と支援を呼びかけた。 鈴木氏のもとには、松下政経塾の同期である立民の野田佳彦元首相も駆けつけた。立民は終盤戦でも弁士を送り込む予定で、次期衆院選をにらんで対決姿勢を鮮明にする。 一方、上川陽子外相(衆院静岡1区)は元副知事大村慎一氏の応援のため、2週連続で県内に入った。19日の静岡市葵区の決起集会では「魅力あふれる静岡県、35市町が連携し、大村さんとともに未来を創造していこう」と強調した。 自民は党幹部の選挙区入りを極力控える方針を決め、大物弁士が代わる代わるマイクを握った2021年の前回選とは様相が異なる。県連幹部は「大村氏が党派を超えた『オール静岡』を訴えているため」と説明するが、裏金問題の逆風を避けたい思いが透ける。 顔触れは県内選出国会議員が中心となる中、陣営関係者は「『ポスト岸田』と言われる上川氏の応援は何としても実現させたかった」と話す。ただ上川氏は18日の集会で、知事選への支援を呼びかける中で「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言し、翌日に撤回。県連内には「切り取り報道で問題はない」「選挙戦への影響がないとは言えない」などの声が交錯する。 共産党県委員長の森大介氏の出陣式には同党の本村伸子衆院議員が応援に訪れた。「静岡県の自民党議員は不祥事だらけ。自民党政治を終わらせなければならない」と訴え、与野党対決を前面に出した。
静岡新聞社