『デューン 砂の惑星PART2』にみる映画の“雄大さ” ヴィルヌーヴ映画の醍醐味がここに
大スクリーンで然るべき大役を得たチャニ役のゼンデイヤ
そんな狂騒に1人背を向けるのが、フレメンの戦士チャニである。去るオスカー受賞式でも数多のプレゼンターがデュオで登壇する中、ただ1人ソロで務めたゼンデイヤはついに大スクリーンで然るべき大役を得た。彼女はスパイダーマンの恋人に収まるような女優ではなく、その真髄は近年、名演を見せてきたテレビシリーズ『ユーフォリア/EUPHORIA』でのアナーキズムと孤高さだ。 奇しくも日本ではクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が『デューン 砂の惑星PART2』と同時期に公開される。オスカーを席巻した2023年の代表作を遅れて観る私たちは、ハリウッドで起きている潮流の変化を目の当たりにすることができるかもしれない。すなわちビッグスクリーンとムービースター、然るべき“遅さ”も有した映画時間。そして観客に問いかけ、時に困惑させるストーリーテリング。これら選ばれし力を使うことができるのはノーラン、そしてヴィルヌーヴら次世代のリサーン・アル=ガイブなのだ。
長内那由多(Nayuta Osanai)