奇妙な連続殺人事件が発生…“家族愛”をテーマに衝撃的な真相が暴かれる「ずっとあなたを待っていました」を振り返り
ソウル市内で起きた殺人事件をきっかけに、巨大な組織の陰謀と欲望にまみれた真相が明らかになっていくミステリーサスペンスドラマ「ずっとあなたを待っていました」。2023年7月に韓国で放送を開始して以降、6話連続で右肩上がりに視聴率を伸ばして話題を呼び、日本では動画配信サービス「Hulu」にて、同年11月から早くも配信がスタートした。本記事では、同ドラマの見どころとともに、ストーリーを振り返っていく。(一部、作品のネタバレを含みます) 【写真】最強にかわいい…法廷で検事服を着用するキム・ジウン“ヨンジュ” ■弟が殺人事件の容疑者に…疑いを晴らそうと奮闘するジンソン刑事 すべての事件の始まりは、ソウルで起きたギャラリー館長殺人事件。被害者の遺体はアキレス腱を切られており、洗濯物を干したような形で吊るされていた。 検察庁はベテラン検事のコ・ヨンジュ(キム・ジウン)を捜査に投入し、国会議員の息子、ペ・ミンギュ(チョン・サンフン)を容疑者として捜査を進めていたがなかなか進展がなく、見かねた先輩検事のヨンウン(クォン・ユル)が捜査に入ることに。 一方、刑事のオ・ジンソン(ナ・イヌ)は、50年以上事件が起きていない海辺の観光都市・ウジンで食堂を営む母親のヨンヒ(チャン・へジン)と弟のジヌ(レン)とともに、平和に暮らしていた。そんな中、ジヌが“展示会に行く”とソウルに出かけ、会場となるカフェで先述の事件と同様の殺人事件が発生。 さらに、平和なはずのウジンでジヌの友人も同様の手口で殺されてしまい、いずれにも関りのあるジヌが犯人として疑われ尋問にかけられる。これに腹を立てたジンソンは、自らの弟の疑いを晴らすため動き出す。 その後、ジヌが犯人ではないという証拠を掴んだジンソン。めでたく弟の疑いが晴れたかに思われたが、その矢先、ジヌが何者かに襲われてしまう。これをきっかけに、ジンソンやヨンジュらはジヌを襲った犯人を突き止めるべく、捜査を開始するのだった――。 全14話で構成されている本作は、途中で中だるみすることなく、毎話驚きの展開や緊迫感のあるシーンなどが盛り込まれ、一気に最終話まで駆け抜けていく。中でも“ヨンウンの家族の秘密”が明かされていくシーンは目が離せず、それぞれの登場人物の“家族”に対する愛がリアルに描かれていて、思わず感情移入してしまうような内容となっている。 ■メインキャストたちの関係性が物語の面白みを引き立てる 複数の家族や組織を巻き込みながらストーリーが展開していく本作では、事件を追う刑事と検察官のキャラクター性と関係性が物語を盛り上げる。主人公の熱血刑事・ジンソンはそのお節介ぶりから“オ・ジンサン(迷惑)”と呼ばれており、ヨンジュ検事とは幼馴染の仲。そしてジンソンはヨンジュに思いを寄せているのだが、ヨンウン検事も同じくヨンジュに好意を抱いているため、作中では三角関係へと発展していく。 一見ギクシャクしそうな関係性にも思えるが、実はこの3人がなかなか良いチームワークを見せてくれるのだ。ジンソンは“感情先行型”の熱い男で、気持ちが高ぶると行動せずにはいられない性格。一方のヨンウンは冷静沈着で“感情より理論型”の人物。そしてヨンジュはその2人の中間の立場で、感情的に行動するものの、しっかりと真実を見極めながら行動するタイプとなっている。 それぞれ異なるタイプのキャラクターのためうまくバランスがとれており、3人によるテンポの良い会話や、次第にお互いを認め合っていく様子は本作の見どころの一つと言えるだろう。 ■交錯する“家族愛”に注目 「ずっとあなたを待っていました」ではハラハラドキドキの捜査劇とは別に、“家族愛”についても非常に考えさせられる作品となっている。本作には、ジンソンとと母親のヨンヒ、ヨンウンと母親のジョンスク(ぺ・ジョンオク)、ヨンジュと母親のジャンミ(キム・ヒジョン)という、3組の母子が登場。作中で刑事・検察官として活躍する我が子を見守りながらも、時には“肝っ玉母さん”ぶりを発揮する母親たちの姿は非常に印象的だ。 例えば、ジヌが殺人犯として疑われ逮捕された際、アリバイを証言するために駆け付けたヨンヒは「悔しくてたまらない」とブチ切れる様子が描かれており、歯に衣着せぬ物言いは見ていて爽快感すら覚える。 またヨンウンの母・ジョンスクは、“ある理由”からあらゆる犠牲を払ってまでヨンウンを守ろうとする。その方法は物語終盤になると明らかになるが、行き過ぎた愛情からネット上では「溺愛っぷりがヤバい…」などのコメントが寄せられていた。 ちなみに、3人の母親役は韓国のベテラン女優たちが演じていたことでも話題に。まずジンソンの母・ヨンヒ役のチャン・へジンは、大ヒット映画「パラサイト 半地下の家族」で母親のチュンスク役を演じたことでも知られる大御所女優の一人だ。 またヨンウンの母・ジョンスク役のペ・ジョンオクも、主演2作を含む30本以上のドラマや映画に出演してきた実力派女優。そしてヨンジュの母・ジャンミ役のキム・ヒジョンも、“苦労人を演じさせたら天下一品”の演技力で、多くの視聴者を虜にしている。 スリリングな事件解決劇はもちろん、母親の“子を愛する気持ち”や“兄弟への愛”など、様々な“家族愛”が錯そうする本作。この家族愛が“事件の真相”に大きく関わってくる点も、他のサスペンスドラマとは一線を画す注目ポイントだ。