「これまでの政治の常識がいかに非常識であるか」と考え直すべき 岸田総理「政策活動費の説明拒否」について青山繁晴議員が言及
複数候補の場合、降りてもらった候補者にある程度の金を出す
飯田)政策活動費は一旦党に入って、そこからの差配は党の幹事長などにお任せなのですか? 田﨑)政策活動費は、幹事長のところに毎年10億円くらい入ります。二階さんは5年間幹事長を務めたので50億円と言われていますが、茂木さんも10億円近いので、大体10億円です。幹事長のところに行って、幹事長から渡されるわけです。現在の状態では、その先は明らかにする必要がないのですね。 飯田)いまの法律では。 田﨑)それは改めた方がいいと思います。幹事長は毎年、約10億円のお金を何に使っていたのかということですが、なかなか説明するのは難しいでしょう。自民党の場合、自民党から選挙に立ちたい人が多いから、通常は複数の候補者が手を挙げるのです。それを一本化しないと勝てないから、手を挙げた人に降りてもらうため、「これで我慢してくれ」とある程度のお金を渡す。そのようなことが行われていると聞いたことがあります。そうなると「誰にいくら渡した」とは言えないですよね。また、「この選挙区を重点選挙区にする」となったとき、その選挙区には多くのお金を出すようになるわけです。選挙で当選するためにね。
ほとんどの党に政策活動費はある
田﨑)他の選挙区にもお金は配りますが、それより多い金額を配った場合、それが見えてしまうと「なぜそこにばかりお金を出したんだ」などというクレームが出るから、上乗せ分については外に出せない。そのため幹事長の政策活動費から出すのです。「使い道を示せ」という意見は論理としては通るけれど、一方の立憲民主党も2022年に代表と幹事長にそれぞれ5000万円ずつ、トータル1億円が流れているのです。「その使い道はどうなっていますか?」と聞くと、そこは言わない。公明党や共産党を除いて、ほとんどの政党にあるのではないでしょうか。 飯田)そういうお金はどの党にもある。
これまでの政治での常識がいかに非常識であるか ~各議員が胸に手を当てて考え直すべき
青山)田﨑さんは現実を踏まえて正確におっしゃっていると思います。その上で我々側に重大な問題がいくつかあります。まずいまの法律では、政策活動費の使い道は示さなくてもいい。その法律を誰がつくったかと言うと、国会議員がつくっているわけです。自分たちに都合のいいことをしておいて、政治家以外のところには「厳しい法律もある」とするのはおかしい。法改正は必ず行わなければなりません。 飯田)法改正をする。 青山)選挙区での候補者調整のために使われているのではないかということも、私は10年ほど政治記者を務めていましたから、取材を通じて知っています。直接聞いたこともあります。重なる候補者にお金を渡して降りてもらうということですが、自由民主党の現職議員として申し上げると、金で黙らせるのが政(まつりごと)なのかと。そんなことを大事な選挙の現場でやっていて、そこから出てきた国会議員を集めても、まともな政ができるはずはありません。 飯田)そんなことで選挙を勝ち上がっても。 青山)これまでの政治で常識とされていたことが、いかに非常識なことなのか、私自身も含めて胸に手を当てて考え直すべきです。総理・総裁の指導力はそこでこそ発揮されないといけません。だから本会議で「適切に使用していると認識している、と言って乗り切る」という政自体が違うのですよ。問題は1つひとつ解決しなければならない。解決しようとしないから、能登での悲惨な現実も起きるわけです。ここで自由民主党が変わらないと、日本自体が滅んでしまう。総理から私たちのような末端の人間に至るまで、身を捨てて進める必要があります。その覚悟がまだ全然足りません。