外国人への救急対応力高めよう 市消防本部で多言語対応訓練【山口】
外国人への救急対応力を高めることを目的とした多言語対応訓練が13日、山口市消防本部で開かれた。救急救命士ら20人が参加して、円滑な処置ができるよう課題を把握し、技術の向上を図った。 同市が米有力紙で今年行くべき旅行地に選ばれたことを受けて、外国人旅行客の増加が見込まれることから実施した。 中国出身で山口観光コンベンション協会の于佳男(う・かな)主任(41)とスペイン出身の市国際交流員ヘマ・ガルベスさん(32)が協力した。最初の訓練では21の言語に対応するやまぐちコールセンターを使用。119番通報を受けて、救急車の要請から病院搬送までの流れを確認した。 通報者役のガルベスさんからの119番を、通信指令課が使用言語を英語と確認し、コールセンターに通訳を依頼。同課職員が救急車を手配し、現地に駆け付けた想定の救命士、岡野朋成さん(43)ら3人が携帯電話で通訳を受けて対応した。傷病者役の于さんの症状を確認し、体温計の使用や搬送のため抱えることへの同意を求めた。 意見交換で于さんとガルベスさんは、許可を求める「May I~?」など簡単なフレーズを使用し、体温計や血圧計などを見せるとより早く対応できると提案。119番した後、コールセンターへつながるまで日本語で「お待ちください」と続くのは不安をあおると指摘した。 于さんは「非常に大事な取り組み。簡単なフレーズと言葉だけでなく、目で分かるものを使って対応してほしい」、ガルベスさんは「傷病者を安心させる声掛けをしてもらいたい」と話した。 岡野さんは「通訳で日本語のニュアンスがうまく伝わらないと感じた。救急の場合、傷病者へ説明不足になる恐れがある。重症度とやりとりの所要時間を吟味して最低限の説明や同意が必要なことを精査し、対応できれば」と話した。 翻訳アプリ「ボイストラ」と、5言語で書かれ、症状が絵で図示されたコミュニケーションボードを使った訓練もあった。