退職前に「有休消化」をしたら嫌な顔をされましたが、労働者の権利ではないのですか?
退職するので有給休暇を消化しようとしたら上司に嫌な顔をされた、というのはよく聞く話です。しかし、有給休暇は本来、労働者に与えられた権利です。 退職前に有給休暇が残っている場合に、スムーズに消化するにはどうすればいいのかを考えてみました。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できる…?
退職前の有給休暇の消化は違法ではない
有給休暇(年次有給休暇)を取得することは労働者に認められた権利であるため、退職する前に残っている有給休暇をすべて使用しても、法的にはまったく問題ありません。 有給休暇を消化することで上司から嫌な顔をされたとしても、ほかの従業員の前であからさまに罵倒されるとか、精神的な苦痛を受けるなどのパワハラに該当するようなレベルでもない限りは、会社に対して訴訟を起こすことは難しいでしょう。 有給休暇の取得日に対して支払われる賃金の計算方法は、会社の就業規則によって異なります。一例として正社員ならば、1日当たりの所定労働時間を勤務した場合と同様の金額になることが想定されます。 例えば、1日8時間の所定労働時間で、賃金が1万6000円相当賃金であれば、有給休暇として取得した日数ついては、1日当たり1万6000円が支払われることになります。
なぜ労働者の権利を行使して嫌な顔をされてしまうのか
退職前に有給休暇を消化して嫌な顔をされてしまうことには、いくつか理由が考えられます。 例えば、有給休暇を取得するタイミングについて、会社と共有ができていなかったケースが考えられます。退職日の目前になって「明日から有給休暇を取るので出社しません」といきなり伝えた場合は、法的には問題はなくても、会社側としては困惑することもあるでしょう。 また、業務の引き継ぎができていない状態や繁忙期に有給休暇を消化する場合も、会社側からは迷惑と思われる可能性があります。 退職にあたって、有給休暇を円滑に消化したいということであれば、当然の権利だからと強行するのではなく、以下のようなポイントを押さえておくといいでしょう。 ●業務に支障がないように引き継ぎを行っておく ●なるべく繁忙期は避けるなど、計画的に有給休暇を取得する ●有給休暇の消化について会社と話し合い、理解を得る