<頂点へ>2020センバツ明石商/3 「2番手」投手が台頭 /兵庫
2019年10月6日に明石トーカロ球場であった秋季県大会決勝。明石商ナインは秋季県王者の座をかけ、報徳学園との大一番に臨んだ。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 相手は春夏通算36回の甲子園出場を誇る伝統校。負けても近畿大会には出場できるが、それはプライドが許さない。県第1代表の方が近畿大会の組み合わせで有利になることを考えても、絶対に勝っておきたいところだった。 しかし、チームの雰囲気は試合前の練習の時から、あまり良くなかったという。井上隼斗遊撃手(2年)は「準決勝に比べて声が出ていなかった。気持ちの緩みが出たのかもしれない」と振り返る。 試合は案の定、序盤にリードを許す苦しい展開となった。先発の中森俊介投手(2年)は一回2死二、三塁から二塁打を打たれて2失点。二回には守備の乱れもあって2点を失った。立ち上がりの不安定さを突かれ四回途中で降板した。 序盤に後手に回ってしまっては、知将・狭間善徳監督といえども取れる手は限られる。得意のバント攻撃などの小技を繰り出す余裕がなくなり、何度も得点圏に走者を進めながら、七回の中野憂翔投手(2年)の適時打による1得点にとどまった。 結果は1―5の敗戦。2年連続で手にしてきた秋季県王者の称号を逃した。エースの不調、守備の乱れなど、これまでの快進撃の陰に隠れていたチームの課題が浮き彫りになった試合だった。 一方で光明もあった。中森投手の後を継いだ中野投手が緩急をつけた投球で4回3分の2を被安打4の1失点と好投。エースに次ぐ「2番手」として、周囲からの信頼を確かなものとした。 甲子園のような短期トーナメント戦で勝ち抜くには、2番手以下の頼れる投手の存在が不可欠だ。中野投手も「中森が投げるイニングを減らしたい」と自分の役割を自覚する。 県大会を振り返り、狭間監督は「チームとしての経験の少なさが出て、最後に勝ちきれなかった。対策を考えて近畿大会に行きたい」と厳しい表情で語った。期待と不安を抱えたまま、2週間後に奈良県橿原市で開幕する近畿大会に挑んだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇19年秋季県大会決勝の記録 ▽決勝(10月6日・明石トーカロ) 明石商 000000100=1 22000010×=5 報徳学園 (明)中森、中野―名村 (報)坂口―南條 ▽三塁打 三宅(報) ▽二塁打 福井、植本、福本(明)黒田(報) 〔神戸版〕