前浜松市長の鈴木氏 静岡県知事選への立候補を表明
前浜松市長の鈴木康友氏(66)は15日、川勝平太知事の辞職に伴って行われる静岡県知事選(5月9日告示、26日投開票)に無所属で立候補すると表明した。県庁で会見した鈴木氏は「これまで積み上げた知見、経験、ネットワークの全てを注ぎ込み、混迷している県政を立て直し、東部、中部、西部の『オール静岡』で静岡県の発展に全力を尽くす」と決意を述べた。知事選には元総務官僚で静岡県副知事も務めた大村慎一氏(60)が既に立候補を表明していて、選挙戦に突入する見通しになっている。
鈴木氏は冒頭、初挑戦した2007年の市長選時のスローガン「やります!」と書かれたボードを掲げ、「もう一度原点に立ち返り、『やります!』の精神で県政のかじ取りをしていきたい」と語った。大村氏との違いについては、4期16年の市長職をはじめ、民間企業経営、衆院議員の経験を挙げた。出馬理由として「以前から声はいただいていた。突然の知事の辞職だったので即戦力の自分が担うべきだと決断した」と述べた。 県政の課題として産業政策を挙げ、市長時代に注力した企業誘致やスタートアップ(新興企業)支援、農林水産業施策の実績を強調して県内全体の経済振興を図る意向を示した。「浜松市寄りの県政になるのでは」との懸念には「知事は全ての県民の負託に応えなくてはいけない。逆に浜松市で培った経験を横展開し、中部や東部の発展に生かす。政策やポリシーを訴え、地域間対立ではないと分かってもらうことが重要だ」と語った。 川勝知事が環境への影響を懸念して静岡県内のリニア中央新幹線工事を認めていない問題に関しては「環境との両立を図りながらリニアを推進する。どうしたら課題をクリアして前に進めるかを考え、クリアになれば着工を認めていく」と述べた。 会見には、浜松市内を拠点とするハマキョウレックスの大須賀正孝会長と遠州鉄道の斉藤薫会長が同席し、市内経済界との連携を印象づけた。 鈴木氏は同市出身。浜松北高、慶応大卒。当時の民主党で衆院議員を2期務めた後、07年の市長選で初当選し、23年4月末まで4期16年務めた。退任後はコンサルティング業や山梨県の政策顧問などを行っている。