小学生の7割がスマホを利用 大分県23年度調査、親子で利用実態の認識に差も
大分県内の児童生徒とその保護者を対象にした県の2023年度の調査で、小学生の7割がスマートフォンを利用していることが明らかになった。インターネット利用やスマホ所持の低年齢化が進む一方、有害サイトなどの閲覧を制限するフィルタリング機能の活用は減っていた。識者は「子ども任せにせず、保護者も一緒にネットとの向き合い方を学ぶ姿勢が大切」と呼びかけている。 調査によると、スマホを使っている小学生は70・4%(前年度比14ポイント増)、中学生は76・9%(3・4ポイント減)、高校生は97・1%(1・9ポイント減)。小学生が大幅に伸びており、自分専用のスマホを持っている児童も前年度から9ポイント増えて34・9%だった。 利用するサービスは小中高とも動画視聴が最も多かった。ソーシャルメディア(SNS)は小学生の約3割、中学生の約6割、高校生の約9割が使っていた。 子どもと保護者とで利用実態の認識に差があることも、調査結果から浮き彫りになった。 「平日に2時間以上ネットを使っている」と答えた小学生は36・5%、中学生50・8%、高校生67・4%。同じ質問に対する保護者の回答は小学生で13ポイント、中学生で15・1ポイント低かった。保護者が把握しているよりも実際の時間が長いことがうかがえる。 家庭でのルールに関する質問でも、「ルールがある」と答えた保護者が72・8%だったのに対し、子どもは57・3%にとどまった。決めているルールは「利用時間」が最も多かった。 子どものネット利用が広がる半面、トラブルの未然防止につながるフィルタリングの活用は45・8%(前年度比1・4ポイント減)と半数に届いていない。「使っていたが解除した」との回答は小学生で3・2%、中学生で5・4%、高校生で15・1%に達した。 調査をした県は「子どもを信頼するのもよいが、低年齢のうちは適切なルールを設けて使い方を導くことが必要」と話している。 ネットリテラシーに詳しい県立芸術文化短大情報コミュニケーション学科の野田佳邦准教授(43)によると、短時間の利用でも▽SNSでやりとりした知らない人と会う▽自分の位置情報を第三者と共有する▽友達の悪口を書き込む▽高額商品を買う―などのトラブルの恐れがあるという。 「保護者も子どもの使い方に関心を持ち、一緒にネットの利便性や危険を学びながら、互いに納得できるルールを作る姿勢が大切」とアドバイスしている。 <メモ> 調査は県が2012年度から実施。23年度は県内の子どもと保護者の計約3千人に調査票を配布。インターネットを利用する機器や内容、トラブルの有無や相談方法などについて聞いた。小中高生1456人(回収率96・5%)、保護者1160人(同76・9%)が答えた。