「東京機械」乗っ取り騒動の当事者「アンセム・ウォン」が明かす 企業防衛アドバイザーの二股劇
投資会社「アジア開発キャピタル」元社長のアンセム・ウォン氏
自作自演のマッチポンプに白黒はつけられるか。 アクティビスト(物言う株主)や仕手集団の台頭に伴い、「企業防衛アドバイザー」として重要な地位を占めるようになったのが、「アイ・アール ジャパン」(IRJ)なるコンサルティング会社である。 しかし、その看板とは裏腹に自社の企業防衛には失敗し、身内から「縄付き」を出したのはご存じの通りだ。東京地裁で、IRJの栗尾拓滋元副社長に懲役1年6カ月執行猶予3年の有罪判決が言い渡されたのは、昨年10月のこと。業績予想の下方修正が発表される前に、元銀座ホステスと一般女性の愛人二人に対し、IRJ株の売却を推奨した金商法違反に問われたのだ。 実は、栗尾元副社長の不正はそれだけに留まらなかった。2021年夏、新聞輪転機メーカー「東京機械製作所」(TKS)を舞台に、乗っ取り劇が勃発。東証二部上場(当時)の投資会社「アジア開発キャピタル」(ADC)傘下の「アジアインベストメントファンド」(AIF)が4割近くの株を握る筆頭株主に躍り出た。と同時に、新聞発行事業という社会インフラを中国資本に牛耳られる経済安保上の懸念も生じ、TKSが乗っ取り阻止の守護神として雇い入れたのがIRJだった。報酬は1億3000万円。ところが、栗尾元副社長はその裏で、ADCにも二股をかけていたのである。 (カネに振り回される人々のドラマを描く「週刊新潮」の連載コラム「MONEY」より)
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「週刊新潮」2024年1月25日号「MONEY」欄掲載