<薬屋のひとりごと>ラスト5分、衝撃の展開に“鳥肌” これまでの事件とつながった伏線回収に反響多数
日向夏のライトノベルをアニメ化した「薬屋のひとりごと」(毎週土曜深夜0:55-1:25、日本テレビ系/ABEMA・ディズニープラス・Huluほかにて配信)の第19話が2月17日に放送された。第2クールの放送開始から密かに張られていた伏線が回収された今回のエピソード。衝撃のラストに「鳥肌が立った」との声が視聴者から上がっている。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】「祭事をとりやめてください」と門番に訴えかける猫猫(CV.悠木碧) ■「薬屋のひとりごと」とは 同作は、日向夏の小説を原作とする後宮謎解きエンターテインメント。小説は「ヒーロー文庫」(イマジカインフォス)より刊行中で、「ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)および「サンデーGX」(小学館)でのコミカライズも展開されており、シリーズ累計2400万部を突破。中世の東洋を舞台に、「毒見役」の少女・猫猫が宮中で起こるさまざまな難事件を次々に解決する姿を描く。 TVアニメは長沼範裕監督(「魔法使いの嫁」や「劇場版 弱虫ペダル(2015)」など)のもと、TOHO animation STUDIOとOLM(「オッドタクシー」や「古見さんは、コミュ症です。」など)がタッグを組みアニメーション制作を担当。CVは猫猫役を悠木碧、壬氏役を大塚剛央が務める。 ■これまでの事件は解決していなかった 猫猫を身請けしてからというものの、やたらと軍師・羅漢(CV:桐本拓哉)に執着されていた壬氏。その正体は、猫猫の実の父親だった。壬氏はそのことで思い悩み、通常の業務が手につかない。 一方その頃、猫猫のもとに慌てた様子で李白(CV:赤羽根健治)がやってくる。先日、猫猫が出火原因を特定したぼや騒ぎに乗じて祭具が盗まれたというのだ。当時、倉庫の管理者が不在で、管理がずさんになっていたらしい。不在の理由が食中毒と聞いて、ぴんとくる猫猫。その管理者とは、好物である海藻の毒に倒れたあの官僚だった。また、前任の管理者が塩の過剰摂取で死亡した高官・浩然であることが判明。 さらには、タバコの不始末でぼや騒ぎを起こした倉庫番があの日、偶然出会った官女からキセルをもらったと証言した。もしかしたら官女は騒ぎを起こし、祭具が盗み出された倉庫の警備を手薄にさせるため、倉庫番にキセルを渡したのかもしれない。倉庫番の語る官女の特徴に猫猫は覚えがあった。長身で、近くを通った時に微かに香る薬のにおい……。そう、猫猫が薬草を探していたところで出会った外廷の官女・翠苓(CV:名塚佳織)だ。 外廷勤務になってから、いくつかの事件解決に貢献してきた猫猫。その一つひとつは独立した事件に思えて、実は繋がっていたのかもしれない。そして、そのどれもに翠苓が関わっていたとしたら……。憶測でものを言ってはいけないと羅門(CV:家中宏)から教わった猫猫だが、偶然にしては重なりすぎている。 ■祭具はなぜ盗まれた? 壬氏に相談したところ、猫猫は薬の最高級品・牛黄につられて事件を詳しく調べる羽目に。すると食中毒になった官僚も、浩然も祭事に関わる官吏だったことが判明。おそらく、祭具を盗むために二人はあらかじめ狙われていたのだろう。問題はその盗まれた祭具がどこで、何のために使われたか、だ。 すると調べ物を手伝ってくれている男が、外廷にある蒼穹檀(そうきゅうだん)という祭事場の絵を見せてくれた。変わった造りになっており、中央の祭壇の真上に大きな柱が吊るされている。男はもともと祭事を司る礼部にいたが、柱が落ちてきたら危ないと上に忠告したことで違う部署に飛ばされたらしい。もし彼が心配した通りに柱が落ちたとすれば、真下にいる祭事を行う者ーーやんごとなき方が犠牲になる。 その瞬間、何かに気づいた猫猫はちょうど今日、祭事が行われているという蒼穹檀へと走り出した。根拠や確証もないが、もしかしたらやんごとなき方が誰かに命を狙われていて、天井から落ちてきた柱の下敷きになるかもしれない。いつになく鬼気迫る様子で、「命の危険があります 祭事をとりやめてください」と門番に訴えかけるが、下女である猫猫の言葉には聞く耳すら持ってくれない。仕方なく、あえて門番が激昂するような言葉を投げかける猫猫。すると門番は持っていた武器で猫猫を殴るのだった。 ■“やんごとなき方”の正体に衝撃を受ける視聴者続出 門番から殴られた拍子に階段から落ちた猫猫の顔は腫れ、鼻からは血が。彼女の姿はあまりに痛々しいが、本人にとっては狙い通りだった。だが、騒ぎを起こしても祭事は中止にならないと見ると、猫猫は再び門番に迫る。そんな猫猫を見かね、助け舟を出してくれたのは羅漢だ。羅漢は門番に凄み、猫猫の要求を通させる。 こうして誰よりも憎き相手である父親のおかげで入り口を突破した猫猫。本当だったら手など借りたくなかっただろう。しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。やんごとなき方が犠牲になる前に危険を知らせなければ。だが、猫猫が祭事場にたどり着いた瞬間、天井から柱を吊るしていた金具が壊れる。無我夢中で猫猫がやんごとなき方を突き飛ばし、危機一髪で助け出すシーンの迫力に思わず手に汗握った。 ラスト5分、猫猫が助けたやんごとなき方が壬氏と判明。猫猫はその顔を見て驚くが、すぐに意識を失ってしまう。そんな猫猫をお姫様抱っこして、祭事場から出てきた壬氏。羅漢とすれ違う際にまっすぐ前を向いていたのは、命をかけて自分を救ってくれた猫猫を決して手放さない。羅漢には渡さないという決意の表れか。その思いに挿入歌「蒼空の炎」(竹中だいち)の〈腕に抱きしめた この熱は誰も奪えない〉というフレーズが重なり、心が震えた。 このアニメ始まって以来、もっとも壮大なエピソードといえる第19話に、視聴者からは「泣いた…すごい…伏線回収から、最後までグワーって感情揺さぶられた」「夫々単発で解決済みと思われた過去の事件が一つに繋がり、遠大な計画が浮かび上がる様に鳥肌が立ちました」「壬氏様の静かなる怒りが感じ取られる良いラスト」「2期になってからなんとなく冗長で1つ1つのエピソードが盛り上がりに欠けるかななんて思って油断してた」と絶賛の声が上がっている。 ◆文=苫とり子