レトロ愛「坂会館」30年 札幌の私設博物館 電化製品や人形…雑貨数万点の迫力
札幌市西区にある私設博物館「レトロスペース・坂会館」(二十四軒3の7)が、今年で開館30周年を迎えた。昭和の文房具や電化製品、人形、キーホルダーなどジャンルを問わない品々が、隙間を惜しむように棚を埋める。「何万点あるか分からない。ただ『いい』と思ったものを並べている」。館長の坂一敬(かずたか)さん(81)はモノへの愛情を、国内外から訪れる人たちに語る。 【動画】巨大クリスマスツリー点灯 サッポロファクトリー
同館は、坂さんの親族が経営する坂栄養食品の工場の傍に建つ。元は同社のレストラン兼結婚式場で、坂さんのコレクションを並べ、1994年6月に開館した。
マネキン拾い悲哀
きっかけは50歳のころ。市電でシルバーシートを勧められ落ち込んでいた時、粗大ごみ収集場に置かれたマネキンが目に入った。「いずれ自分も捨てられるのではないか」。悲しさを覚え、マネキンを持ち帰った。 会館の窓に、捨てられたマネキンの首を並べた。不気味がられたが、興味を持つ人も出始めた。市立小樽文学館元館長の玉川薫さん(71)もその一人。坂さんは骨董(こっとう)市などで買い集めたり、両親から譲ってもらったりした革製ビキニ水着や昭和初期のかるたなど約200点を文学館の片隅に持ち込み2002年11月、企画展を開いた。玉川さんは「『学びの場』に縛られがちな公的博物館とは全く違う迫力があった」と振り返る。
館の存在は、ネットなどを通じて徐々に知られるようになった。歌手の一青窈さんや坂本龍一さんも足を運んだという。