水原一平氏

　米司法省は11日、公式サイトにドジャースの大谷翔平選手(29)の元通訳、水原一平氏(39)が違法賭博で負った多額の借金を返済するために同選手に無断で銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正に送金した容疑で訴追されたと発表するプレスリリースを掲載した。同氏は近日中にロサンゼルス市内にある連邦地方裁判所に出廷する予定で、最高刑は連邦刑務所禁錮30年の重罪だという。 　同省がホームページに発表した内容は以下のとおり。 「訴状とともに提出された宣誓供述書によると、水原は2021年11月から2024年1月にかけて、宣誓供述書に「被害者A」と明記されているMLB選手の当座預金口座から1600万ドル以上を不正送金した。この銀行口座からの送金は、大谷の通訳兼事実上のマネージャーを務めた水原に関連するデバイスとIPアドレスから行われたとされている。 　2018年、水原は英語を話せない大谷に同行し、アリゾナ州の銀行支店で大谷の口座開設を手伝い、口座の詳細を設定する際には大谷のために通訳をした。宣誓供述書によれば、大谷のプロ野球選手としての年俸はこの口座に振り込まれ、大谷はこの口座や他の金融口座の管理権を水原に与えたことはなかったという。水原氏は、大谷選手の米国在住の金融関係者（誰も日本語を話せない）に、大谷がこの口座へのアクセスを拒否したことを伝えたとされる。 　2021年9月、水原は違法なスポーツブックでギャンブルを始め、数カ月後にはかなりの金額を失い始めた、と宣誓供述書には記されている。この間に大谷の銀行口座の連絡先情報は変更され、水原の電話番号と水原につながる匿名の電子メールアドレスにリンクされたとされる。 　水原はまた、銀行に電話をかけ、大谷と偽って、大谷の銀行口座から違法賭博の仲間への電信送金を許可するよう行員をだましたとされる。 　2024年1月から3月にかけて、彼はまた、この同じ口座を使って、eBayやWhatnotを通じて約1000枚の野球カード（費用は約32万5000ドル＝約5000万円）を購入し、「ジェイ・ミン」という偽名で大谷が現在所属する球団のクラブハウスに郵送させたとされている。 　大谷は先週の警察とのインタビューで水原の電信送金の許可を否定。大谷は自身の携帯電話を警察当局に提供したが、警察当局は大谷が水原の違法賭博行為やその借金の支払いに気づいていた、あるいは関与していたことを示唆する証拠はないと判断した。 　刑事告訴は単なる申し立てに過ぎず、被告人は法廷で合理的な疑いを超えて有罪が証明されない限り、無罪と推定される。 　内国歳入庁刑事局および国土安全保障省捜査局がこの件を捜査中である。 　主要詐欺課のジェフ・ミッチェル米国弁護士補佐、環境犯罪・消費者保護課のダン・ボイル、国際麻薬・マネーロンダリング・不正行為課のレイチェル・N・アグレスがこの事件を起訴する」 　大谷の元通訳を巡るスキャンダルは、3月20日に開幕戦の舞台となった韓国で勃発。同日の試合後のミーティングで水原氏がチームメートらを前に自身のギャンブル依存症を告白。さらに、宿舎に戻ってから大谷に自身の借金返済のために同選手の銀行口座から多額の送金を行ったことを明かした。翌日に球団が同氏の解雇を認めた。 　3月25日には大谷がドジャースタジアムで記者会見を行い、「僕自身は何かに賭けたり、誰かに代わって賭けたり、それを頼んだりということもない」と自身の潔白を主張。「彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ、僕の周りにもウソをついていたというのが結論です」と断罪した。