Z世代の新しい消費トレンド:「香り」で楽しむ東洋の味わい
【東方新報】香篆(こうてん)文化を学び、お香を使った礼儀を習ったり、香りのついたカードや丸いお香を作ったり――国慶節の休暇中、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の香道館で、四川省(Sichuan)から来た「00後」(2000年代生まれ)の観光客、馬萌(Ma Meng)さんが、いろいろな香料について学んでいる。高価なコースではなく、約200元(約4224円)の体験型コースが初心者には特に人気だ。 香道館の責任者によると、休日のコースはほぼ満員で、多くの人が順番待ちしているという。「今では、90後や00後の若者が増えているし、中国の伝統文化に興味がある外国人も、わざわざ中国に来て学んでいます」と話していた。 中国の「香文化」には長い歴史があり、古代から「香」には独自の文化的価値と美学がある。宋代には香料の貿易が盛んで、文人たちは焚香(お香を焚くこと)、茶道、花道、掛け軸を「四芸」と呼んで楽しんでいた。香文化はこの時代に最高潮に達し、経済発展とともに香料が庶民にも広がった。 近年、国産ブランドの人気や健康志向が高まる中、「自己満足」や「感情的価値」を求める消費者が増え、中国要素を取り入れた「中式」の線香がその独特の香りと文化的魅力で若い人たちの注目を集めている。 「香文化に興味を持ったきっかけは、ドラマ『甄嬛伝(邦題:宮廷の諍い女)』でした。最近では、ゲーム『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』の中で香を焚いてセーブする場面があって、ますます惹かれました」と馬萌さんは話していた。 今では、中式の線香だけでなく、「新中式」の香水も人気になりつつある。これらは中国人の好みに合わせた東洋風の香りを探求し、香り、形、意味のバランスを取って、伝統文化と感情に訴えかける「東洋の魅力」を表現している。 新中式の香水には、茶や松、檀香、桂花、ジャスミンなどの伝統的な香料がよく使われている。繊細で奥深い香りが特徴で、製品の名前には「地名」や「節気」など中国らしい文化が取り入れられている。また、パッケージには中国の陶器や詩、水墨画のデザインが取り入れられ、東洋の雰囲気が漂っている。 香水好きの楊悦(Yang Yue)さんは、今年の誕生日に桂花の香水を自分へのプレゼントとして購入した。「この香りは秋の杭州にぴったりで、新中式の服にもよく合います。リラックスした優しい気分にしてくれます」と話している。 業界の人たちは、中国の香水市場では以前、海外ブランドが70パーセント以上を占めていたが、今年に入って新中式の香水が東洋の文化と現代のライフスタイルを融合させる製品として注目されていると見ている。中国の国産ブランドは、伝統と革新をうまくバランスさせ、業界の基準を作り、東洋の香りをもっと広い市場に広げていくことが大切だと考えている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。