バイデン米政権、報告書でイスラエルの国際法違反疑いを指摘 ラファ侵攻反対で圧力強化
【ワシントン=坂本一之】バイデン米政権は10日、パレスチナ自治区ガザでイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエル軍が、米国から供与された兵器の使用で国際人道法に違反している疑いがあるとの報告書を議会に提出した。米国は同盟国としてイスラエル防衛を支援しているが、ガザで拡大する民間人の犠牲を問題視。イスラエルがガザ最南部の人口密集地ラファへの大規模な地上作戦を実行しないよう圧力を強めている。 【写真】バイデン米大統領がXに投稿した岸田文雄首相との2ショット写真 報告書は「イスラエル軍が依存する米国製兵器」に関し、国際人道法に反する形で「使用された事例があると判断するのが妥当だ」と言及。ただ、ハマスが民間人を「人間の盾」に利用する状況などを踏まえ、「決定的な結果を得るのは困難だ」と断定も避けた。 バイデン大統領は今年2月に公表した覚書で、米国から兵器供与を受ける国に国際法の順守を求め、違反が確認された場合は供与の一時停止などを検討するとしていた。今回の報告書ではイスラエルの違反を断定せず、民間人保護に取り組むよう促した。 バイデン氏は報告書の議会提出に先立つ8日、イスラエルがラファへの大規模な地上作戦を実施した場合には民間人の犠牲が出る兵器の供与を停止する考えを示し、慎重な対応を求めていた。 しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は9日の声明で「必要ならば単独でも戦う」などと反発。同盟関係が揺らぐ事態となっている。 バイデン政権は今回の報告書でガザ側の死者が推定3万4700人に達すると指摘。民間人被害を抑えるイスラエル側の取り組みに「重大な疑問がある」と批判した。