JAL新社長、止まらない円安に懸念-1ドル130円ぐらいが望ましい
(ブルームバーグ): 日本航空(JAL)の鳥取三津子社長は24日、円安が止まらない足元の状況について「かなり懸念」しているとし、1ドル=130円程度の水準が望ましいとの考えを示した。
1日に社長に就任した鳥取社長がブルームバーグなどとのインタビューで、JALとしては「130円くらいになるといい」と話をしていると説明。他企業との会話の中でも130円あるいは140円程度が望ましいとの話を聞くと述べた。懸念する理由としては将来を担う日本の若い世代が海外に出て行かないことにつながることなどを挙げた。
旅客需要の大幅減の要因となっていた新型コロナウイルス感染拡大の収束に伴い、航空各社の業績は改善傾向にある。JALも前期EBIT(利払い・税引き前利益)は1400億円とコロナ禍前を上回る水準となることを見込む。ただ、月間の訪日外客数が初めて300万人を超えたのに対し、アウトバウンド(海外旅行客)の回復が遅れているほか、円安や原油高による燃料費高騰といった懸念は残る。
また、鳥取社長は飛行中の旅客機のパネルが吹き飛ぶ事故が発生し、信頼が揺らいでいる米ボーイングについて、安全面の課題は「ちゃんと克服してくれるんじゃないかと思う」との見方を示した。
ボーイングと競合する欧州の航空機メーカー、エアバスは3月、JALと大韓航空から大型受注を獲得。JALはエアバスA350-900型機21機と、A321neo11機を購入すると発表した。ボーイングへの発注は787型機10機で、これまで航空会社の引き合いが強いナローボディー(単通路機)を独占的に納入してきたボーイングの牙城をエアバスが切り崩す形となった。
鳥取社長は、昨年からの累計ではボーイングとエアバスで約30機ずつの発注となっているとし、今後もどちらかのメーカーに偏っていくわけではなく「その都度そのときの事業計画に適切な機種を総合的に考えて、見極めて対応していく」とか語った。