高齢者世帯の59.0%「生活が苦しい」…厚生年金と国民年金は平均でいくらなのか
老後世帯の家計は毎月平均で約3万8000円不足
総務省統計局「総務省統計局「家計調査報告 家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、老後二人世帯の平均的な収支はつぎのとおりです。 ・社会保障給付:21万8441円 ・その他収入:2万6139円 ・実収入合計:24万4580円 ・消費支出合計:25万959円 ・非消費支出(税金支払いなど):3万1538円 ・可処分所得:21万3042円 社会保障給付が一般的な年金による収入にあたります。 1世帯あたりの本統計における平均受給額は21万8000円です。 「その他」は年金以外の収入にあたります。 すなわち全世帯平均でならすと、約2万6000円程度は年金以外の収入を得ている計算です。 投資収益や金利収入、親類からの支援などがこちらに含まれます。 本統計は「無職世帯」を対象にしたものなので、基本的に勤労による収入はありません。 これに対して支出は消費支出で25万円余り、さらに税金などの非消費支出が3万2000円ほどです。 まとめると次のとおりで、1月あたり3万8000円の赤字となっています。 ・(1)実収入:24万5000円 ・うち社会保障給付:21万8000円 ・可処分所得:21万3000円 ・(2)消費支出:25万1000円 ・(3)非消費支出:3万5000円 ・月次の過不足額((1)-(2)-(3)):▲3万8000円 「無職世帯でも、平均2万6000円程度は何らかの形で年金以外の収入を得ている」「それでも月間3万8000円は赤字となるので、貯蓄を取り崩している」ということがわかります。 もし年金以外に一切の収入がないと、赤字は6万円超に膨らむ計算です。
まとめにかえて
赤字を補填できる貯蓄が潤沢になければ、確かに生活は苦しくなると想定されます。 これから老後に向けて準備を進めていく予定の方は、このような実情をふまえて、投資を活用しながら老後資産の形成を進めましょう。 年金以外の収入手段や赤字を補填する貯蓄を確保しておけば、ゆとりのある老後生活を実現可能です。
参考資料
・総務省統計局「消費者物価指数2023年」 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」 ・厚生労働省「令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況 」」 ・総務省統計局「2023年(令和5年) 家計の概要」
太田 彩子