水際ぎりぎりにずらり、まるで海上に浮かぶ家屋 京都府伊根町の舟屋群
初冬の丹後半島は少し小雨混じりの日が続いていた。高速道を降り国道178号線を走る。しばらくすると海を挟み並行して日本三景の一つ、天橋立が見えてきた。
約3.6km続く砂州には数千本の松が生い茂る。右手にその松林を眺めしばらく走ると、湾に突き出た半島沿いに木造の建物がぎっしり建ち並ぶ風景が見えてくる。映画やドラマのロケ地としても有名になった京都府伊根町の舟屋群。水際ぎりぎりに建つ家屋はまるで海上に浮かんでいるような不思議な風景だ。 伊根浦公園近くの防波堤から舟屋が連なる町並みを撮影していると、学生らしき二人組の女性にシャッターを押して欲しいと英語で話しかけられた。話を聞くと香港から観光で来たという。舟屋群を背景に何枚か撮影し、コンパクトカメラを返すと嬉しそうに答えてくれた。 京都府内といえども市内から電車で約3時間、車でも2時間はかかる場所だ。圧倒的に人気のある観光地の京都市内、大阪だけでなく、古き良き日本の原風景を求めて丹後、若狭地方といった日本海側の方にまで足を延ばす海外からの観光客が今増えているという。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<“舟屋と伝説の町” 京都府伊根町へ>倉谷清文第10回」の一部を抜粋しました。 (2017年11、12月撮影・文:倉谷清文)